野中英和展「存在の不可能性 無限への渇望としてのIII」を見る

 東京銀座のギャラリー現で野中英和展「存在の不可能性 無限への渇望としてのIII」が開かれている(6月27日まで)。野中は1947年横浜生まれ、20歳の頃哲学者の信太正三ゼミに参加してニーチェを研究した。1970年横浜芸術研究所でデッサンを学ぶ。1972年にパリに遊学。1976年銀座のルナミ画廊で個展、以来2人称画廊、村松画廊、ギャラリー那由他、ギャラリー現などで個展を開いている。最近のギャラリー現では、2007年、2009年、2013年に続いて2年ぶりの個展となる。





 前回同様、紙を黒く塗り、線を描き、白い紙を貼り、また線を塗り重ね、白い絵具を塗り、新聞紙の一部を貼り込み、文字を書いたりしている。何を描いているのか分からない。しかし魅力的だ。野中の作品は一見コンセプチュアル(概念的)に見えるけれど、純粋に造形的な美を追究している作品だと思う。理由はコンセプチュアルな作品がこんなに美しいはずがないからだ、と独断的に思っている。偏見かもしれないが。


 ただ、これも前回感じたことだが、画廊に入って右側の壁面に展示されている作品が分からない。まるで殴り書きのように、少ない線だけでできている作品だ。作家は、これも同じ様な作品だという。たまたま居合わせていた現代美術の作家も、きれいな作品じゃない、とてもいいわと言う。すると、私の鑑賞力がまだまだ未熟なのだろう。
 野中の作品は取りつきにくい印象を持たれるかも知れない。少なくとも甘い作品ではない。だがきわめて優れた作品だと思う。画廊へ足を運んでじっくりと見てほしい。
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野中英和展「存在の不可能性 無限への渇望としてのIII」
2015年6月22日(月)−6月27日(土)
11:30−19:00(土曜日17:30まで)
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ギャラリー現
東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル3F
電話03-3561-6869
http://g-gen.main.jp