ガーディアン・ガーデンの阪本勇写真展「天竺はどこや!!」がおもしろい

 東京銀座のガーディアン・ガーデンで開かれている阪本勇写真展「天竺はどこや!!」がおもしろい(5月29日まで)。おもしろいと書いたものの、おもしろかったのは絵画の方だった。
 阪本は1979年、大阪生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退。写真家本多元氏に師事後、独立。現在エディトリアルとコマーシャル等の分野で活躍している。2006年のガーディアン・ガーデン主催の「写真『ひとつぼ展』」に入選、それで今回の個展になった。
 ギャラリーでは3面の壁にちょっと変わった写真が並んでいる。おにぎりとか調理パンとかがぶっきらぼうに撮られて展示されている。そしてもう1面の壁に巨大な絵画が貼られている。


 これはピカソゲルニカの原寸大の模写だ。正確には原寸大のモノクロコピーを作り(小さなコピーを何十枚も貼り合わせ)、それにカラーテープを貼っている。これがおもしろかった。
 画面の左下はカラーテープが貼られていなくて、モノクロコピーのままだ。制作過程を明かす目的であえて貼ってないのだろうと思ったら、阪本によれば間に合わなかったためだと言う。会期中に貼って完成させるつもりでいたが、このままで良いという意見もあって今どうしようかと考えている。けっこう大雑把でそれもおもしろかった。
 個展のちらしにもおもしろいことが書かれていた。「展示によせて」より

「コンセプトはなんですか」と聞かれるたびに困ってしまう。(中略)
コンセプトはなく、衝動がある。
衝き動かされては走り、衝き動かされては撮る。じゃあその衝動は一体なんだと問われたら、いっぱいあり過ぎて答え切れない。
アンモナイトの化石を手にした時のこと。初めて女の子に告白された時のこと。友達の家に集まってアダルトビデオ鑑賞をした時のこと。秘密基地のこと。小学校の屋上で見た流星群。
身の回りの出来事だけじゃない。未だに現代文明に触れていない民族がまだいることとか、火星に生命体が存在する可能性とか。シロクマの毛を刈ると真っ黒になることとか、ハシビロコウの容姿とか。ミナミゾウアザラシの大きさとか、UMAの存在とか。深海のこととか、宇宙のこととか。それら全てのことが僕が写真を撮る衝動になっている。
それらの衝動をコンセプトと呼んでいいのなら、僕のコンセプトはこの世あの世の有象無象、一切合切全てを含めた森羅万象の出来事なのです。

 写真展と銘打ちながら3分の1のスペースは絵画に充てている。とてもユニークな作家だ。写真撮影の仕事がたくさん来ることを陰ながら祈ろう。
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阪本勇写真展「天竺はどこや!!」
2014年5月12日(月)〜5月29日(木)
11:00〜19:00(日曜・祝日休館)
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ガーディアン・ガーデン
東京都中央区銀座7-3-5 ヒューリック銀座7丁目ビルB1F
電話03-5568-8818
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1階が泰明画廊のビルの地下1階、洋菓子店ウエストの横の階段を下りる
エストといえば、昔ブルーチーズケーキを売っていたけれど、人気がなかったのかもう扱っていない