東京原宿駅前のBLUM & POEで岡崎乾二郎展「TOPICA PICTUS Revisited: Forty Red, White, And Blue Shoestrings And A Thousand Telephones」が開かれている(11月6日まで)。岡崎は1955年東京生まれ。2019年から2020年にかけて豊田市美術館で大規模な回顧展が開かれた。現代美術の世界で絵も評価が高いが、美術評論家としても、『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー)、『抽象の力』(亜紀書房)、『感覚のエデン』(亜紀書房)、『絵画の素』(岩波書店=11月発売予定)など実績を積み重ねている。
ギャラリーのホームページから、
Blum & Poeでは2度目となる、東京を拠点とする岡﨑乾二郎による個展「TOPICA PICTUS Revisited: Forty Red, White, And Blue Shoestrings And A Thousand Telephones」をこの度開催いたします。2021年10月、岡﨑は突如として病に倒れました。6ヶ月以上にわたる入院生活や壮絶なリハビリを経て驚異的な回復を遂げた岡﨑は、再び筆を取り始めます。この一連の経験は、身体と精神さらには世界の間に存在する関係性について新たな示唆を作家に与え、さらには、芸術制作の意義についての新たな視点をもたらしたと言います。本展では、退院後から取り組んできた初公開の最新作の数々が一堂に会します。
「TOPICA PICTUS」というタイトルは、アリストテレスによる弁証術において、考えるべき問題が生起する素や場所 (トピック) を表す語『topos=トポス』、また、ラテン語で「描かれた(もの)」を意味する『pictus=ピクタス』に由来しています。問題が立ち上がる場となる『トポス』をはらんだこの小さなフォーマットに描かれた抽象画は、作家の参照をゆるやかに示唆しながら、同時に様々な問題群を提示していると言えます。「TOPICA PICTUS Revisited: Forty Red, White, And Blue Shoestrings And A Thousand Telephones」と名付けられた本展では、作家に起こった身体から切り離されてしまった経験を、ボブ・ディランによる「Highway 61 Revisited (追憶のハイウェイ)」や、ポーランドの古い物語や、黙示といった作品タイトルに含まれる多くの参照とともに、絵を描くという行為を通して記録し、提示することで、『トポス』に結びつけているのです。
今回はすべて小品で、おそらく0号から3号ほどの大きさか。太い筆で描いたあと、絵具が乾ききらない内に次の筆を重ねている。その結果の混色が美しい。わが師山本弘の筆触に通じるものがあると感じた。
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岡崎乾二郎展「TOPICA PICTUS Revisited: Forty Red, White, And Blue Shoestrings And A Thousand Telephones」
2022年9月24日(土)―11月6日(日)
12:00-18:00(日曜・月曜・祝日休廊)
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BLUM & POE
東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森5F
電話03-3475-1631