マツバランとの闘い

園芸店で売られていたマツバラン



 ネットのニュースが稀少植物のマツバランが住宅街の溝に生えていると報じていた。マツバランは去年江東区の園芸店に鉢植えが売られていたのを見たことがあった。

 もう30年近く前になるが、上野のグリーンクラブで野茨の鉢植えを買ったことがあった。その鉢に見慣れない植物が生えてきた。その植物を別の鉢に植え替えて育ててみた。見たことのない植物だったので、標本を植物学者に見てもらった。これはマツバランだと教えてくれた。マツバランとは、植物図鑑によると、

常緑性多年草。樹上や岩上に着生するが、ときに地上に生育する。観賞用に栽培もする。地下茎、胞子で繁殖し、ややまばらに生えるかまたは叢生する。

 鉢植えにしたマツバランは、意外にも大きく生育したので結局抜き取って捨ててしまった。ところが生育した時点で胞子を作っていたらしく、その後周辺に置いてあった他の鉢植えから芽生えてきた。それらは見つけ次第抜き取ってきた。

 芽が出て高さ3cm以内の状態で抜き取ってきたつもりだったが、マツバランはその後も生え続けてきた。光合成をして養分を蓄える前に抜き取ってきたのに、次々に生え続けるのは他の植物に寄生しているとしか考えられなかった。

 見つけ次第小さなうちに抜き取っていたのに、20年間は芽を出し続けた。憎っくきマツバランなのだった。ようやくここ数年間は新しい芽を見ないと安心していたが、最近また1芽、スミレの鉢に芽を出していた。

 いつまでも根絶できないマツバラン、どこが稀少植物なのか。