風知草について


 鉢植えなどにされるフウチソウ(風知草)は標準和名がウラハグサ(裏葉草)。ウラハグサと呼ばれるのは、普通の植物では裏側にあたる葉裏がウラハグサでは表だからだ。葉鞘から葉に続くとき、ねじれているのが分かるだろうか。

 フウチソウと呼ばれるのは、葉が薄く長く、このため少しの風でも揺れて、風があることが分かるからだ。宮本百合子の小説『風知草』はこの意味で付けられたものだろう。新しい時代の風をいち早く知る風知草に主人公をなぞらえている。いや、私は読んでないのだが。
 私も7号鉢(直径7寸=21cm)に風知草を植えていた。持ち込んで20年になるくらいの時、どんなに水をやっても葉が萎れて回復しなかった。そのうちにほとんど枯れたようになったので、葉を引っ張ると簡単に抜けてしまった。根がほとんどなかった。鉢の中の土は湿っていたのに。鉢をひっくり返してみると、大きく育ったコガネムシの白い幼虫が20匹近く出てきた。これらに風知草の根が喰われていたのだ。そういえば、コガネムシはゴルフ場などの芝生の根を加害する害虫だ。