萬年一剛『富士山はいつ噴火するのか?』を読む

 萬年一剛『富士山はいつ噴火するのか?』(ちくまプリマ―新書)を読む。副題は「火山のしくみとその不思議」。著者は火山学者、裏表紙の惹句を引く。

 

富士山はこの300年ほど噴火していないが、それは仮の姿。

実はとても活発な火山だ。次に噴火するとしたらいつだろう?

噴火に至るマグマの動きを解説し、将来の噴火時期を予測する方法、

降灰や溶岩流シミュレーションの受け止め方を考える。

 

 タイトルは煽情的だが、火山のしくみを基本から解説している。昔は富士山は休火山と呼ばれていたが、現在は休火山というカテゴリーはないという。富士山は活火山なのだ。火山のしくみをプレートテクトニクスから説明する。プレートの沈み込み角度により、火山活動が活発になったり低調になったりする。

 富士山については、いま、ほんの少し休んでいるだけで、それは仮の姿。正体はとても活発な火山だという。最後の噴火から300年以上が経過してしまった。だからマグマがパンパンに溜まってしまっているという某大学の先生がいる。いつ噴火してもおかしくないスタンバイ状態だと。しかし現在の火山学ではマグマだまりがパンパンかどうかなんか、分かりっこないのだという。要するにいつ噴火するかは分からない。

 しかし、富士山が噴火したとき、溶岩がどこまで流れるかについては、内閣府が中心になってハザードマップを作成した。ただ、火口位置がどこになるかは決められない。想定される河口の位置によって、溶岩がどちらの方向にどこまで流れ出るかシミュレーションされている。

 また、噴火による降灰もシミュレーションされている。萬年は、その結果水不足が深刻になると予測する。

 富士山はいつ噴火するか分からない。おそらく当分噴火することはないだろう。しかし、もし噴火したら想像以上の惨劇になるのではないか。