東京京橋のギャラリーなつかで平野瞳展「反射光」が開かれている(7月13日まで)。平野瞳は1994年石川県生まれ、2022年に武蔵野美術大学通信教育課程油絵学科版画コースを卒業している。グループ展には何度も参加しているが個展は初めてとなる。
作家の言葉、
ある片隅に訪れた光と、その静かな熱と動きが生み出す無数の反射光たちを、つたないエッチング線を使い拾い集め、わずかでも版の上に留めたいと思っています。
永い温度と確かな痕跡を、いつか一枚の紙に刷り上げることができたらと願っています。
平野瞳のユニークな点は取り上げたテーマだ。作家たちはしばしば特権的な瞬間を作品のテーマに選ぶ。美しい風景、特異な風景、事件などや魅力的な人物等々。平野が取り上げたのは日常的なひとコマ、風に揺れるレースのカーテンを透かして見える裏庭、食卓の食べ終わった皿とスプーン、食器棚の一角、水が張られていない浴槽、若い娘のうしろ姿。
そんなドラマチックな情景とは真逆なテーマを選んでいる。しかし、その何でもないものを描いた作品が魅力的なのだ。少しも外連味がない。とても上品な世界を作っている。気持ちの良い銅版画展だ。
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平野瞳展「反射光」
2024年7月8日(月)―7月13日(土)
11:00-18:30(最終日17:00まで)
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F
電話03-6265-1889