東京芸術劇場ギャラリー2の松尾多英個展を見る

 東京池袋の東京芸術劇場ギャラリー2で松尾多英個展「砂」が開かれている(6月30日まで)。松尾は1947年生まれ、1970年にフランスの美術学校を修了している。1983年から砂丘・風紋を発表し始め、1995年から「砂」の100号の連作を発表している。


 今回はF100号の大作を20枚並べている。左右2620cm、つまり26メートルもある超大作だ。松尾は世界の砂漠を取材しているが、どこまでも続く「砂」の運動・姿の変容を表現するためには、100号作品を横にずっと繋げる連作にしなければならないと考えた、とカタログに書いている。

 松尾多英といえば2017年に亡くなった奥田敏夫さんを思い出す。神田神保町でやっている松尾多英展が良いから見に行ってと言われたことがあった。だから私にとって松尾多英=奥田敏夫なのだ。

 奥田さんは東大で本江邦夫さんと同級生だった。二人はセクトが違ったので深い付き合いはなかったと言うが。奥田さんは本江さんのことをアイツは頭が悪いと言っていた。本江さんは多摩美の教授で長く府中市美術館の館長だった。本江さんも口が悪く、建畠晢さんのことを頭が悪いと言ったり、ワシオトシヒコさんのことを教養がないなどと言っていた。奥田さんは7年前に肺がんで亡くなってしまったが、生前もっといろいろ話しておけばよかった。藍画廊で開かれていた読書会で奥田さんの優れた読解を聞くのが楽しみだった。松尾多英展を見ると奥田さんのことを懐かしく思い出す。

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松尾多英個展「砂」

2024年6月17日(月)―6月30日(日)

10:30-19:00(初日は12:00~)6/24は休館日

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東京芸術劇場ギャラリー2

東京都豊島区西池袋1-8-1

電話03-5391-2111