eitoeikoのながさわたかひろ展を見る

東京矢来町のeitoeikoでながさわたかひろ展「顔顔顔~東京編~」が開かれている(3月24日まで)。ながさわは1972年山形県生まれ、2000年に武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コースを修了している。2010年にart data bankで初個展、その後養清堂画…

上野の森美術館のVOCA展を見る

東京上野の上野の森美術館で「VOCA展2024」が開かれている(3月30日まで)。これは「現代美術の展望―新しい平面の作家たち」というもので、全国の美術館学芸員、研究者などから推薦された40歳以下の作家31人が出品している。 部分 山下耕平 部分 大東忍:VO…

伊藤邦武『物語 哲学の歴史』を読む

伊藤邦武『物語 哲学の歴史』(中公新書)を読む。新書という小冊子で哲学史を紹介するという難しい仕事を試している。結果的にそれは成功している。 古代・中世の哲学から、近代の哲学=意識の哲学はデカルトから経験論とカントが語られ、20世紀哲学=言語…

コバヤシ画廊の荻原正人展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で荻原正人展が開かれている(3月23日まで)。荻原は1953年東京生まれ、1979年東京芸術大学鋳金科を卒業し、1981年同大学大学院を修了している。 今回の展示は3面の壁に同一の大きさの黒い平面が規則正しく並べられている。右側の壁…

片山杜秀『大楽必易』を読む

片山杜秀『大楽必易』(新潮社)を読む。副題が「わたくしの伊福部昭伝」で、伊福部昭はクラシック音楽の作曲家、だが『ゴジラ』の映画音楽の作曲家として名高い。芥川也寸志や黛敏郎の師でもある。伊福部によれば、先祖は因幡の国の宇倍神社の神官を明治維…

ギャラリー58の山下耕平展を見る

東京銀座のギャラリー58で山下耕平展「底裏の間」が開かれている(3月23日まで)。山下耕平は1984年兵庫県生まれ、2007年に佐賀大学文化教育学部デザイン専攻を卒業している。東京では、2011年からほぼ毎年このギャラリー58で個展を続けていて今回で13回目…

ギャラリーSAOH & TOMOSの佐藤杏子展を見る

東京神宮前のギャラリーSAOH & TOMOSで佐藤杏子展「識閾」が開かれている(3月23日まで)。佐藤杏子は1954年、茨城県土浦市生まれ。1980年、多摩美術大学大学院を修了している。1978年から日本版画協会展に毎年出品し、1995年に準会員優秀賞受賞。1989年ギ…

トキ・アートスペースの吉川和江展を見る

東京神宮前のトキ・アートスペースで吉川和江展が開かれている(3月24日まで)。吉川和江は東京生まれ、1969年に武蔵野美術大学を卒業し、1976年ドイツのハンブルグ国立美術大学に入学し、1986年に同校を卒業している。現在ハンブルグ在住。1983年ハンブル…

ギャラリーなつかの桑原理早展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで桑原理早展「Not Perfect Tracking」が開かれている(3月16日まで)。桑原理早は1986年東京都生まれ、2011年武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業し、2013年同大学大学院美術研究日本画コースを修了している。2013年にアー…

木之庄企畫の谷口ナツコ個展を見る

東京京橋の木之庄企畫で谷口ナツコ個展「日常の極楽」が開かれている(3月21日まで)。谷口は1968年北海道生まれ。今までギャラリー砂翁、デザインフェスタギャラリー、ヴァニラ画廊、スタジオ・ゾーン、アンド・ゾーン、ギャラリー・テオなどで個展を開き…

松尾剛次『日蓮』を読む

松尾剛次『日蓮』(中公新書)を読む。日蓮宗を開いて法華経の信仰を説いた。新宗教の霊友会、立正佼成会、創価学会もみな日蓮系だ。 日蓮は他宗に対して激しく攻撃的だった。それは創価学会の折伏を経験して私も多少は知っていた。しかしここまで攻撃的だっ…

SOMPO美術館の「FACE展2024」を見る

東京新宿のSOMPO美術館で「FACE展2024」が開かれている(3月10日まで)。今回で12回目となるという。 津村光璃:グランプリ 塩足月和子:優秀賞 文無:読売新聞社賞 菊野祥希:大島徹也審査員賞 東菜々美:秋田美緒審査員賞 宮﨑菖子:森谷佳永審査員賞 巽…

川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』を読む

川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』(ちくまプリマ―新書)を読む。はじめあまり興味を持たなかったが、書評などで評判が良いようなので読んでみた。 本書の一節に次のような箇所があった。 以前読んだ記事の中で、グルメリポーターとして有名な彦摩呂さ…

ギャルリー東京ユマニテの井上雅之展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテで井上雅之展「形に囲まれる」が開かれている(3月23日まで)。井上は1957年神戸市出身、1985年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。2017年第24回日本陶芸展大賞受賞。1980年代から陶を素材に立体作品の制作を試み…

巷房の象山隆利展を見る

東京銀座のギャラリー巷房で象山隆利展「風と歩行」が開かれている(3月9日まで)。象山は1964年静岡県生まれ、1989年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業、1991年に同大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。1990年以来様々な画廊で個展を行い、巷房…

ギャルリー東京ユマニテbisの都丸志帆美展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで都丸志帆美展「内側に溜まった水溜まり」が開かれている(3月9日まで)。都丸は1977年群馬県渋川市生まれ、2002年創形美術学校ファインアート科を卒業している。個展は2006年ギャラリー坂巻、その後現代HEIGHTS ギャ…

ギャルリーためながの吉川民仁展を見る

東京銀座のギャルリーためながで吉川民仁展が開かれている(3月24日まで)。吉川民仁は1965年千葉県生まれ、1989年に武蔵野美術大学を卒業し、1991年に同大学大学院造形研究科油絵コース修士課程を修了している。1990年に鎌倉画廊で初個展、以来様々な画廊…

山本文緒『無人島のふたり』を読む

山本文緒『無人島のふたり』(新潮社)を読む。作家である山本文緒が2021年4月膵臓がんと診断され、そのとき既にステージ4bだった。治療法はなく、抗がん剤で進行を遅らせることしか手立てはなかった。抗がん剤治療は地獄だった。山本は医師やカウンセラー…

コバヤシ画廊の岡村桂三郎展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で岡村桂三郎展が開かれている(3月9日まで)。岡村は1958年東京都生まれ、1988年に東京藝術大学大学院後期博士課程を満期退学している。 岡村はいつも板に描いていると思っていたが、最近は帆布に描いているという。板を削ってレリ…

国立新美術館の「五美大展」を見る(その2)

東京六本木の国立新美術館で「五美大展」が開かれている(3月3日まで)。今回は多摩美術大学と女子美術大学、日本大学芸術学部を紹介する。 以下、多摩美術大学 丸地大海(一寸法師のように実際に舟として使っている) 高橋智彰 島田理央 小塩晴太郎 藤井…

国立新美術館の「五美大展」を見る(その1)

東京六本木の国立新美術館で「五美大展」が開かれている(3月3日まで)。今回はそのうち武蔵野美術大学を紹介する。 吉田真納タルーラ 宮坂裕理 斎藤翼 矢部もなみ 勝木直人 荒井健 浅野明子 柳澤樹 黒尾瞳 添田夢実 ・ 「五美大展」 2024年2月23日(金)…

抽象絵画の接地について

今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』(中公新書)に次のような指摘がある。 認知科学では、「記号接地問題」という未解決の大きな問題がある。「ことばの意味を本当に理解するためには、まるごとの対象について身体的な経験を持たなければならない」。AIが記…

宇野重規 著、若林恵(聞き手)『実験の民主主義』を読む

宇野重規 著、若林恵(聞き手)『実験の民主主義』(中公新書9を読む。副題が「トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ」とうもの。編集者の若林が政治学者の宇野に質問して宇野が語るという形式をとっている。全6回の対話を基に本書が正立した。 宇…

資生堂ギャラリーの林田真季展を見る

東京銀座の資生堂ギャラリーで林田真季展が開かれている(3月3日まで)。これは「shiseido art egg」の一つで、資生堂が新進アーティストを応援する公募プログラム。毎年3人が選ばれて資生堂ギャラリーで個展をし、中から一人が「shiseido art egg賞」を…

波戸岡景太『スーザン・ソンタグ』を読む

波戸岡景太『スーザン・ソンタグ』(集英社新書)を読む。副題が「脆(もろ)さにあらがう思想」。昔『反解釈』が話題になったアメリカの知識人で批評家・作家だ。私も『写真論』と『他者の苦痛のまなざし』は読んだけど、小説『死の装具』は50年近く前に買…

ギャラリーためながの常設展を見る

東京銀座のギャラリーためながで常設展が開かれている。吉川民仁の作品が良かった。菅原健彦はもう30年以上見ているが、私は昔の作品の方が良かった。そのほか、山本大也と北川麻衣子を紹介する。ほかにも智内兄助やアイズピリなどが展示されていた。 ・以下…

ギャラリーSAOH & TOMOSの西村祐美展を見る

東京神宮前のギャラリーSAOH & TOMOSで西村祐美展「Interplay」が開かれている(3月2日まで)。西村祐美は1984年福岡生まれ、2007年多摩美術大学美術学部情報デザイン学科卒業。2022年にiwaoギャラリーで初個展、今回が2回目の個展となる。 サイズ120cm×1…

坂口安吾『堕落論』を読む,、そして山本弘の戦争体験

坂口安吾『堕落論』(新潮文庫)を読む。56~57年ぶりの再読。そんなことを覚えているのは、山本弘に初めて会った時、『堕落論』を読めと言われたからだ。その時私は19歳で、『堕落論』はすでに読んでいた。『堕落論』は戦後すぐの昭和21年に坂口安吾が出版…

沖田瑞穂『世界の神々100』を読む

沖田瑞穂『世界の神々100』(ちくま新書)を読む。著者はインド神話、比較神話が専門のようで、神話に関する多くの著書がある。 本書は全部で7つの章があり、「主神」、「戦神・英雄神」、「豊穣神」、「女神」、「技巧神・医神」、「トリックスター」、「…

イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』を読む

イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』(角川ソフィア文庫)を読む。50年以上前に出版されて当時大きな話題になった書。その後イザヤ・ベンダサンを名乗る著者がユダヤ人などではなくて山本七平だということがばれてこれまた話題になった。しかし人気は衰…