村上慧『家をせおって歩いた』を読む

 村上慧『家をせおって歩いた』(夕書房)を読む。先日読んだ絵本の村上慧『家をせおって歩く』の日記編。2014年4月5日から2015年4月8日までの1年間、村上は家をせおって東京から東北を経て日本海沿いに大阪、神戸まで歩き、そこからフェリーで大分へ渡って宮崎まで歩いている。その間ほぼ毎日日記を描いていた。歩いている道路事情、会った人たち、家を置いた場所、泊まった場所、その膨大な記録だ。全体が300ページだが、1ページ上下3段組だから、最新刊の岩波新書に換算すると500ページ近くになる。

 村上が発砲スチロールで作った家を背負って歩いて行く。だが、泊まるために家を置く場所は、公園や道路には勝手に置くことができないので、お寺や神社やお店などに毎回交渉して置かせてもらっている。毎回新しい土地で家を置く場所の許可を求めて交渉していく。家の場所が決まると、コンビニなどで食料を調達し、トイレを借り、銭湯などを探して風呂に入る。電車に乗って銭湯に行くこともある。

 東京を出発し、取手からつくば、水戸、常陸太田、そして原発事故の双葉郡富岡町、家をトラックに積んでもらって枝垂れ桜で有名な三春町、福島市、仙台にまで行く。石巻あたりは訛りが強い。陸前高田、大船渡、八戸、十和田では十和田現代美術館へ行ってみた。大湯温泉では家の設置をどこでも断られた。落ち込んでいたらホテルが許可してくれた。そんな調子で秋田県に抜ける。8月10日に酒田市に入る。8月23日新潟県に入る。9月に長野県に入り、松代町へ。「まつしろ現代美術フェスティバル」に参加して展示する。新潟県へ戻り、上越市へ。親不知、高岡市金沢21世紀美術館鯖江市、10月29日越前市、琵琶湖から京都~奈良、11月19日木津川到着、ギャラリーOut of Placeの津嘉山さんに会ってギャラリーの敷地に家を置かせてもらった。私の知っている津嘉山さんが出てきてびっくり。

 11月28日に大阪に入る。12月8日西宮、12月16日六甲からフェリーで大分へ渡る。特別に手荷物扱いで特別料金なしだった。正月は一時東京の実家へ帰り、1月6日に大分へ戻る。宮崎市では病院で診察を受けたが何ともなかった。2月23日宮崎港からフェリーで神戸へ、いったん家を神戸に置いて、東京に戻る。病院と整体に行く。3月10日軽トラックで家を東京の実家へ動かした。