埼玉県浦和の埼玉県立近代美術館で戸谷成雄展が開かれている(5月14日まで)。美術館のホームページから、
日本の現代美術を代表する彫刻家・戸谷成雄(1947年―)は愛知県立芸術大学で彫刻を専攻したのち、1970年代より本格的な活動を開始しました。彫刻というジャンルが批判や解体にさらされていく同時代の美術潮流のなかで、戸谷は彫刻の起源や古今東西の彫刻表現を探究し、彫刻とは何かを問い続けました。木材の表面をチェーンソーで彫り刻む「森」シリーズの発表を機に80年代から国内外で高く評価され、ヴェネチア・ビエンナーレ(1988年)をはじめ数多くの国際展に参加してきました。90年代より「《境界》から」、「ミニマルバロック」シリーズ、2000年代より「洞穴体」シリーズ、近年には「視線体」シリーズなど優れた作品を手がけ、精力的な活動を続けています。
戸谷はチェーンソーで木材を彫っている。その加工された独特の表面の表情が戸谷の彫刻の特徴だ。チェーンソーの彫り跡は荒っぽい。誰もそんな木彫はしなかった。戸谷独特の造形で、それが高く評価されている。
さすがに見事な造形だと思う。ただ、チェーンソーで彫った荒っぽい表情を外して作品を見たときに、意外にありふれた形であることに気づく。つまり戸谷の造形はその荒い表面の加工に依存しているのであって、空間性に優れているとは言い難いのではないか。
戸谷の作品が他に例を見ないユニークなものであることは事実だが、立体作品のキモである空間性という視点から見ると、評価に少し保留をしたいと生意気なへそ曲がりは勝手なことを言いたい。
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戸谷成雄展
2023年2月25日(土)-5月14日(日)
10:00-17:30(月曜休館)
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電話048-824-0111
埼玉県立近代美術館 The Museum of Modern Art, Saitama (spec.ed.jp)