良い骨董商の見つけ方

 友人から祖父が残した書画骨董を売りたいのだが、どこか良い骨董商がいたら紹介してほしいと言われた。
 良い骨董商というのは形容矛盾だ。そんな骨董商は存在しない。村田喜代子「人が見たら蛙に化れ」(朝日文庫)という小説は骨董商が主人公で、何も知らない素人から価値あるお宝をいかに安く手に入れるかを書いている。安く買えば買うほど骨董商の勲章なのだ。地方の旧家に古いものをもらいに行ったときも、本当にほしいお宝には注目しないで、最後に「残しておいても邪魔でしょうからそれももらっていきましょう」などと言って、安価に入手するのだという。知人のKさん(尊円法親王の書を東京国立博物館に寄贈した人:2006年9月18日の日記)も8畳間二部屋一杯の古いものを骨董屋に持っていってもらってたった2万円だったという。
 懇意の画商さんにどうするのが良いでしょうかと相談すると、オークションに出すのが一番いいでしょうとアドバイスされた。オークション会社は真贋を鑑定するし、良いものは高値が付くので骨董商に売るよりずっと有利に手放すことができるのだ。


人が見たら蛙に化れ (朝日文庫)

人が見たら蛙に化れ (朝日文庫)