もの派のエース関根伸夫の個展を見た


 昨年末銀座のギャラリー美術世界で関根伸夫の個展を見た。一昨年もここで個展が開かれた。金箔を貼ったボードに穴を開けたり、それを版画にしたりしている。版画も金色だ。あの関根がどうしてこんなxxのような作品を作っているのか?
 関根伸夫はリー・ウーファンとともに1970年前後の美術運動「もの派」の推進者だ。理論のリー・ウーファンに対して、作品では関根に最も高い評価が与えられている。教科書にも載っているあの「位相ー大地」の作者だ。「位相ー大地」は美術館の庭に円筒形の大きな穴を掘り、掘った土を穴の横に円柱状に積み上げたもの。この作品がもの派の端緒になった。
 もの派とは、「1968年頃から1970年代前半にかけて、石や木、紙や綿、鉄板やパラフィンといった<もの>そのものを、非日常的な状態で提示することによって、<もの>にまつわる既成概念をはぎとり、そこに新しい世界の開示をみいだした」(国立国際美術館「もの派ー再考」展チラシより)。主な参加者は関根、リーのほかに、小清水漸、菅木志雄、榎倉康二、高山登、原口典之など。
 そんな関根の40年後の作品が先述した美術世界での個展だった。関根さん、どうしてしまったのか!? ある方が教えてくれた。関根は環境デザインの会社を立ちあげて成功し、バブルの頃は数十人の社員を使っていた。バブルが終わった今は、主に韓国と中国で仕事を展開しているのだと。
 なるほど、実業で成功すれば、(美術)作品がこんな風になってしまうのはやむを得ないのかもしれない。


関根伸夫の近作「窓の風」