Oギャラリーの田島直樹銅版画展−版の記憶−がおもしろい


 東京銀座のOギャラリーで田島直樹銅版画展−版の記憶−が開かれている(12月14日まで)。田島は1968年鹿児島県生まれ、1997年に筑波大学大学院芸術研究科美術専攻を修了し、2012年には同大学で博士号を取得している。1997年にOギャラリーで初個展、その後も同ギャラリーで個展を数回開き、神楽坂のセッションハウスなどでも個展を行っている。1998年版画協会新人賞受賞。また海外の国際展にも何度も出品している。
 私は1997年の初個展を見て強烈な印象を受けた。銅版画で牛を描いていたが、足が何本もあってシュールレアリスムに属する絵だった。大きな作品で左右2メートルほどもあったのではなかったか。17年前になるが、その時の田島との会話も少しばかり憶えている。



 今回も不思議な作品を展示している。人の足が4本並んでいたり、蛸が兜をかぶり銛を持っているもの、魚の頭と骨でできているヘリコプター、頭蓋骨が操縦している起重機は小鳥を持ち上げている。この小鳥は長谷川仁へのオマージュに見える。
 画廊の正面には風車のようなものが置かれている。版画は制作途中で刷りの状態を確認するのだという。その確認の過程の版を風車の羽に仕立てているのだ。4本の足の作品の制作過程を羽にあしらっている。
 また画廊の奥にも円筒形を9本構成した立体が置かれている。これも兜をかぶった蛸の作品の制作過程を構成したものだという。


 田島はシュールレアリスム系の画家だから、ストレートな作品などは作らない。しかし、銅版画を使ってこのような立体作品まで作ってしまうとは! 版画家でありながら、単なる版画家の枠に収まりきれないユニークな作家なのだ。
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田島直樹銅版画展−版の記憶−
2014年12月8日(月)−12月14日(日)
12:00−20:00(日曜日11:00−16:00)
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Oギャラリー
東京都中央区銀座1-4-9 第一田村ビル3階
電話03-3567-7772
http://www4.big.or.jp/~ogallery/