池田満寿夫、落ちた偶像

 東京大丸デパートの美術館へ何かの展覧会を見に行った帰り、デパートの工芸品売り場を見ていた。まあ、通りすがりに横目で見ていたというのがより正確だが。陶器といっても日常品ではなく、美術陶器みたいなのが並んでいた。その時不意に眼の隅に何か気になるものが引っかかった。よく見るとぐじゃぐじゃした変な形の陶器だった。記憶が曖昧だが花瓶だったのではなかったか。作者の名前があり池田満寿夫となっていた。無理に潰したような形で気持ちの悪い作品だった。
 池田は晩年、陶でオブジェを作って発表していた。縄文焼きと称していた。何でこんなものを発表するのかと訝しんだ。ぐじゃぐじゃした形のどうしようもないものだった。
 不忍画廊で開かれた陶のオブジェもスカスカの作品だった。

 まだ池田が亡くなる前、若手といっても30歳代半ばくらいの版画作家の個展を見た。自分が美大の学生の時と作家が言った、池田さんは雲の上の人、神様でした。今はゴミです。