銀座のギャラリー零∞(ゼロハチ)の中西紗和展を見る

 東京銀座2丁目のギャラリー零∞(ゼロハチ)で中西紗和展が開かれている(6月1日まで)。中西は1985年東京生まれ、2011年東京芸術大学大学院彫刻研究領域終了、現在同大学院彫刻研究領域博士課程在学中。グループ展には何度も参加しているが、今回が初個展。作家の言葉より、

私は、ロストワックスという技法を用いブロンズ鋳造で作品をつくっています。/創造とは日常のもっともプライベートなグレイゾーンから生まれます。/今回の展示では、制作手法を注意深く振り返り、/取り扱う素材を使いインスタレーションを行います。

 画廊に足を踏み入れると舟が置かれている。その縁に小さなオブジェがたくさん乗っている。舟の底には排水口みたいなのがあり、舟ではなくワックスで作られた浴槽とのこと。この排水口は作家の歯形でできている。
 浴槽の縁に置かれているのはブロンズで作られた小さなオブジェで、作家は風呂の中でロウを手捻りして形を作り、それを自分でブロンズに鋳造している。






 壁に古いカレンダーが裏側を出して止めてあり、その周囲にビニール袋が並べられ、中にロウで作った鋳造前のオブジェが入れられている。袋に書かれた数字は作った日付とのこと。1日に何個も作っている。
 丸テーブルの中央には排水口が作られていて、その下にもオブジェが置かれている。


 片手に乗るほどの小さなオブジェが100〜200個ほど展示されていた。それは奇妙な形の動物状だったり、立方体のようだったり、複雑な形状だったり、虫みたいだったりする。1個だけ転がっていたら作品には見えそうもない。ほかに舌状のオブジェ、アクリル箱に入れて両側を耳のように蛇口が挟んでいる小品、欠けたワックスのオブジェなどが展示されている。

 1個1個の完成を追求するのではなく、作家が日々作り出す様々な形を面白がればいいのではないかと思われた。興味深い作家が登場してきたのだ。
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中西紗和展-infuse-
2013年5月23日(木)−6月1日(土)
12:00−19:00(最終日17:00まで)水曜日休廊
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零∞(ゼロハチ)
東京都中央区銀座2-2-18 西欧ビル8F
http://zerohachi.net
※1階にスパンアートギャラリーが入っているビル