2020-01-01から1年間の記事一覧

JINENギャラリーの奥谷葵展を見る

東京日本橋小伝馬町のJINENギャラリーで奥谷葵展が開かれている(11月1日まで)。奥谷は1993年千葉県船橋市生まれ、2017年京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)芸術学部美術工芸学科油画コースを卒業している。2017年JINENギャラリーで初個展、以来いくつか…

中川恵一『医者にがんと言われたら最初に読む本』を読む

中川恵一『医者にがんと言われたら最初に読む本』(エクスナレッジ)を読む。著者は東大医学部准教授、放射線治療部門長。放射線治療の専門家だから、特定のがん部門の医者ではない。つまりがん一般についてニュートラルに語れるということだろう。 本書のタ…

ギャラリー58の中村宏展「1/4について」が始まった

DM 東京銀座のギャラリー58で中村宏展「1/4について」が始まった(10月31日まで)。中村は1932年静岡県浜松市生まれ、日本大学芸術学部美術学科に学ぶ。今年88歳になる。初めルポルタージュ絵画という社会的な絵画を描く。弱冠23歳で絵画史に残る砂川闘争を…

自分のブログのこと

ブログを書き始めて14年半経った。投稿日数はあとひと月ほどで5,000日になるらしい。昨日までに4,973日だったとなっている。自分でも驚いてしまう。 何を書いてきたのか、カテゴリー別に見ると、 美術(2069) 文学(836) 自然(311) 山本弘(257) 風俗(…

野上照代『もう一度 天気待ち』を読む

野上照代『もう一度 天気待ち』(草思社)を読む。副題が「監督・黒澤明とともに」、野上は『羅生門』以来、黒澤明監督の映画のスクリプター、編集者を多数担当した。 本書は最初に『天気待ち』として文藝春秋から出版され、のちに「三船敏郎と黒澤明」、「…

コバヤシ画廊の村山隆治展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で村山隆治展が開かれている(10月17日まで)。村山は1954年茨城県生まれ、1980年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。その後、ギャラリー山口やギャラリー手、ギャラリー21+葉などで個展を繰り返した後、2007年からは毎…

トキ・アートスペースの関根哲男展を見る

東京神宮前のトキ・アートスペースで関根哲男展が開かれている(10月18日まで)。関根は1942年満州生まれ、1965年に多摩美術大学油画科を卒業している。1977年にときわ画廊で初個展、以来田村画廊で10回、ギャラリーQで17回、そのほか新潟などで94回の個展を…

ヒデハル・フカサク・ギャラリー六本木の吉田絢乃展を見る

東京六本木のヒデハル・フカサク・ギャラリー六本木で吉田絢乃展が開かれている(10月17日まで)。吉田は1987年東京生まれ。2011年多摩美術大学造形表現学部造形学科を卒業し、2013年同大学大学院修士課程油画領域を修了している。大学在学中からグループ展…

原田眞人・聞き手の『黒澤明語る』を読む

原田眞人・聞き手の『黒澤明語る』(ベネッセ)を読む。1991年1月と6月の2回、原田が黒澤にインタビューしている。原田も映画監督で、『突入せよ!あさま山荘事件』などを監督している。 さて読み始めると原田が映画監督のせいか細かいエピソードへのこだわ…

ギャラリーQの井上修策展を見る

東京銀座のギャラリーQで井上修策展「密」が開かれている(10月17日まで)。井上は1984年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業している。長年ギャラリー現で個展を開いていたが、一昨年からギャラリーQで開催している。 今までインスタレーションが多かっ…

吉田裕『日本軍兵士』を読む

吉田裕『日本軍兵士』(中公新書)を読む。副題が「アジア・太平洋戦争の現実」、先の戦争における日本軍兵士の実態を描いていて、それはそれは悲惨なものだったことを教えられた。今まで断片的には読んだり聞いたりしていたが、そのことに絞って書かれてい…

TAKU SOMETANIギャラリーの舩戸彩子個展「茂みの中の雑誌について」を見る

DM葉書 東京浅草橋のTAKU SOMETANIギャラリーで舩戸彩子個展「茂みの中の雑誌について」が開かれている(10月25日まで)。舩戸は1990年愛知県生まれ、2018年に京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)を修了している。 2019年に名古屋と岐阜で初個…

Bギャラリーの笹井祐子ドローイング展を見る

東京池袋のBギャラリーで笹井祐子ドローイング展「風の色・水のかたち」が開かれている(10月18日まで)。笹井は1992年日大芸術学部研究所版画コースを修了している。最初の個展は1989年にJCBギャラリーで、次いで1991年ギャラリー21+葉で行っている。2010…

黒澤明『蝦蟇の油』を読む

黒澤明『蝦蟇の油』(岩波同時代ライブラリー)を読む。副題が「自伝のようなもの」とあり、1978年に『週刊読売』に連載したもの。黒澤68歳のときの自伝となる。 黒澤は1歳のときの記憶を持っていた。洗面器のお湯につかっていた時、洗面器をゆすっていてひ…

ギャラリー絵夢の小堀令子展を見る

東京新宿のギャラリー絵夢で小堀令子展が開かれている(10月14日まで)。小堀は東京生まれ、1970年武蔵野美術大学を卒業している。祖父は著名な日本画家小堀鞆音で、鞆音は安田靫彦の師だった。令子は現在立軌会会員で、個展は御茶の水画廊、ギャラリーブロ…

銀座K’sギャラリーの三橋賢一郎展を見る

東京銀座の銀座K’sギャラリーで三橋賢一郎展が開かれている(10月10日まで)。三橋は1983年東京都出身、2006年阿佐ヶ谷美術専門学校を卒業している。個展、グループ展は多数行っている。 画廊の正面突き当りに3点組の作品が展示されている。この3点は合わせ…

ギャラリーゴトウの森本秀樹展を見る

東京銀座のギャラリーゴトウで森本秀樹展が開かれている(10月13日まで)。森本は1951年、愛媛県宇和島出身。ギャラリー汲美をはじめ、ギャラリーゴトウ、小田急デパートなど数多くの個展を行っている。 森本は多く風景を描いている。滝のある風景だったり蜜…

ギャラリーTOWEDの「スピードLag」を見る

東京墨田区京島のギャラリーTOWEDで「スピードLag」が開かれている(10月24日まで)。参加作家は、川邊真生、田中昌樹、高橋稜、藤山恵太の4人。 川邊は1992年 青森県生まれ、2016年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻 首席卒業、2018年 同大学大学院美…

S+artsのさとう陽子展「愛でる」を見る

DMはがき 東京六本木のS+artsでさとう陽子展「愛でる」が開かれている(10月11日まで)。さとうは1958年東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。 ギャラリーのホー…

トキ・アートスペースの野村俊幸展「森の記憶、土の記憶」を見る

東京神宮前のトキ・アートスペースで野村俊幸展「森の記憶、土の記憶」が開かれている(10月11日まで)。野村は1958年千葉県生まれ、1983年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を卒業し、1998年東京藝術大学大学院壁画研究室研究生。1983年ルナミ画廊で初…

橋本忍『複眼の映像』を読む

橋本忍『複眼の映像』(文藝春秋)を読む。副題が「私と黒澤明」、名脚本家橋本忍が黒澤との映画作りを語っている。これがとても面白い。 橋本は伊丹万作に師事し、伊丹が亡くなったあと、黒澤を紹介される。芥川龍之介の「薮の中」を脚本化して黒澤に見せる…

PARCELの森靖展を見る

東京日本橋馬喰町のPARCELで森靖展「Ba de ya」が開かれている(11月8日まで)。森は1983年愛知県生まれ、2009年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻を修了している。2010年に山本現代で初個展、翌年横浜トリエンナーレに出品したが、今回が10年…

ギャラリーなつかの「たまびやき」を見る

東京京橋のギャラリーなつかで毎年恒例の「たまびやき」展が開かれている(10月10日まで)。「たまびやき」は、毎年ギャラリーなつかで開かれる多摩美術大学工芸学科/陶/選抜作品展だ。今年は学部4年制が3人、大学院生が5人参加している。 ところが今年は…

ギャラリー川船の「特別入札展示会」が始まった

東京京橋のギャラリー川船で「特別入札展示会」が始まった(10月3日まで)。 入札の方式は「二枚札方式」、これは入札カードに上値(上限)と下値(下限)の二つの価格を書いて入札するもの。 他に入札者のない場合は下値で落札する。 上値が同額の場合には…

蔭山宏『カール・シュミット』を読む

蔭山宏『カール・シュミット』(中公新書)を読む。副題が「ナチスと例外状況の政治学」というもの。ナチスの独裁思想を擁護したワイマール期の最右翼の政治学者。ナチの御用学者。その独裁の政治思想ってどんなものなのだろう? シュミットは例外状態を重視…

千葉市美術館の宮島達男展を見る

千葉市美術館で宮島達男展「クロニクル1995-2020」が開かれている(12月13日まで)。宮島は1957年、東京生まれ。1984年に東京藝術大学を卒業し、1986年に同大学大学院を修了している。美術館のホームページより、 宮島達男は、LED(発光ダイオード)のデジタ…

スカイ・ザ・バスハウスの森万里子展「Central」を見る

東京谷中のスカイ・ザ・バスハウスで森万里子展「Central」が開かれている(10月17日まで)。森万里子は森ビル創業者の孫娘、といってももう50歳くらいになるらしい。1997年のヴェネチア・ビエンナーレに出品し、同じ年ギャラリー小柳で個展を行った。宇宙服…

ギャラリーブロッケンの柴田美智子個展「緊急避難」を見る

東京武蔵小金井のギャラリーブロッケンで柴田美智子個展「緊急避難」が開かれている(9月27日まで)。柴田は1955年東京都江東区生まれ、1980年〜83年に美学校で菊畑茂久馬に師事している。1994年日本橋好文画廊で初個展、以来ギャラリーフレスカ、Keyギャラ…

Stepsギャラリーの十河雅典展「2020・77歳の自我像」を見る

東京銀座のStepsギャラリーで十河雅典展「2020・77歳の自我像」が開かれている(10月3日まで)。十河は1943年東京生まれ。1969年に東京芸術大学を卒業している。タイトルが「77歳の自我像」だが、若い頃からの自我像、15歳、19歳、32歳、57歳、65歳や現在の…

斎藤美奈子の「世の中ラボ」126回を紹介する

筑摩書房のPR誌『ちくま』10月号に斎藤美奈子の連載エッセイ「世の中ラボ」の126回目が掲載されている。タイトルが「「安倍辞任」でも気分が晴れない理由(わけ)」、その一部を紹介する。 まず安倍政権とは何だったのか思い出してみよう。 適菜収『国賊論』…