2020-01-01から1年間の記事一覧

ガルリSOLの平野由果展を見る

東京銀座のガルリSOLで平野由果展が開かれている(9月26日まで)。平野は1992年に日大芸術学部美術学科版画科を卒業し、1992-1994年に日大芸術学部研究科に在籍していた。1993年にギャラリー21+葉アネックスで初個展、翌年九美洞ギャラリーで個展、その2…

丸谷才一『七十句』を読む、また検印のこと

丸谷才一『七十句』(立風書房)を読む。「あとがき」に、「このたび七十歳を迎へるに当り、齢の数だけの句を拾つて知友に配らうと思ひ立つた」とある。1995年丸谷が70歳になったのを記念して70句だけの句集を作った。そんな体裁だから「知友に配る」つもり…

√kコンテンポラリーの浜田浄展「記憶の地層―光と影―」を見る

東京神楽坂の√kコンテンポラリーで浜田浄展「記憶の地層―光と影―」が開かれている(10月24日まで)。浜田は1937年高知県出身、1961年に多摩美術大学美術学部油画専攻を卒業している。2015年には練馬区立美術館で個展が開かれている。 √kコンテンポラリーは1…

東京都写真美術館の「森山大道展の東京ongoing」を見る

東京都写真美術館で「森山大道展の東京ongoing」展が開かれている(9月22日まで)。ちらしから、 スナップショットの名手として知られる、日本を代表する写真家・森山大道。1960年代に写真家として活動を開始し、その作風は「アレ・ブレ・ボケ」と形容され…

ガルリH(アッシュ)の沼田直英展を見る

東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で沼田直英展が開かれている(9月26日まで)。沼田は1954年北海道生まれ、1977年に創形美術学校絵画科本科を卒業し、1981年から1982年まで東洋美術学校第1回パリ派遣留学をしている。1979年に櫟画廊で初個展、その後…

いりや画廊の荒木美由個展「いしのない世界」を見る

東京入谷のいりや画廊で荒木美由個展「いしのない世界」が開かれている(9月26日まで)。荒木は1988年東京生まれ、2013年女子美術大学大学院美術研究科修士課程立体芸術領域修了。今までいりや画廊、ブロックハウス、floatなどで個展を行ってきた。 荒木は…

うしお画廊の淀井彩子版画集を見る

東京銀座のうしお画廊で淀井彩子版画集展が開かれている(9月19日まで)。1979年から2013年までに制作された10冊の版画集を展示している。壁にその版画集の一部が額装されて展示されており、版画集も手に取って見られるようになっている。 淀井は1966年に東…

ギャラリーTOWEDの佐藤絵莉香個展を見る

東京墨田区京島のギャラリーTOWEDで佐藤絵莉香個展が開かれている(9月27日まで)。佐藤は1996年神奈川県川崎市生まれ、2020年に武蔵野美術大学造形学部油絵専攻を卒業し、現在同大学大学院造形研究科修士課程油絵コース1年在籍中。今回が初個展となる。 最…

西村京太郎『華麗なる誘拐』を読む

西村京太郎『華麗なる誘拐』(河出文庫)を読む。なんだか新聞の書評などで大変評判がよく、それでつい手に取った。巻末に簡単な書誌が載っていて、1977年にトクマ・ノベルズ、1982年に徳間文庫、1987年に講談社の西村京太郎推理選集、1995年に講談社文庫、2…

金子兜太 編『現代の俳人101』を読む

金子兜太 編『現代の俳人101』(新書館)を読む。2004年発行の本で、金子兜太が100人の俳人を選んでいる。それに自分を加えて101人というわけだ。「戦前を中心に活躍した俳人」、「戦後を中心に活躍した俳人」、「戦後派以降の俳人」となっていて、それぞれ…

ギャラリーZaroffの佐藤宏三個展「誘惑」を見る

東京初台のギャラリーZaroffで佐藤宏三個展「誘惑」が開かれている(9月12日まで)。ここに掲げたDM葉書は極めておとなしい絵柄で、ほとんどは緊縛された女性を描いている。SMの世界を描いた個展だ。佐藤さんは私とfacebook友だちの日本画家で、以前も吉祥…

ギャラリーMoMoプロジェクツの「NEW NEW NEW NORMAL」を見る

東京六本木のギャラリーMoMoプロジェクツで「NEW NEW NEW NORMAL」が開かれている(10月3日まで)。参加作家は、みょうじなまえ、山本れいら、半田颯哉の3人。 みょうじなまえは昨年東京藝術大学を卒業し、現在同大学大学院絵画専攻修士課程在籍中。2月にTA…

ギャラリー77の重野克明展を見る

東京銀座のギャラリー77で重野克明展が開かれている(9月17日まで)。重野は1975年千葉市生まれ、2003年東京藝術大学大学院修士課程美術研究科版画専攻を修了している。2000年に東京銀座の青樺画廊で初個展、以来77ギャラリーや高島屋美術画廊Xなどで個展を…

コバヤシ画廊の村上早展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で村上早展が開かれている(9月19日まで)。村上は1992年群馬県生まれ。2014年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻を卒業し、2017年同大学大学院博士後期課程中退。毎年コバヤシ画廊で個展を続けていて今年が5回目になる。 今…

山本弘の作品解説(99)「重い手足」

重い手足 山本弘「重い手足」、油彩、F12号(60.8cm×50.0cm) 1977年制作、47歳のときのほとんど最晩年の作品。題名から2度の脳血栓の後遺症による不自由な手足、つまり自分のことを描いている自画像だと分る。足はいいつも引きずっていたし、手も不自由だっ…

芸大陳列館の「彼女たちは歌う」を見る

東京藝術大学陳列館の「彼女たちは歌う」を見に行く。11人のすべて女性作家による展覧会。途中、上野公園の一角に藝大生たちのものだと思われる彫刻作品が並んでいた。 牧野優美 永井遼太郎 水野千尋 山崎良太 白井雪音 陳列館は過密を避けるため入場制限が…

大塚信一『長谷川利行の絵』を読む

大塚信一『長谷川利行の絵』(作品社)を読む。長谷川利行の生涯を辿りその作品を紹介している。利行についての文献を読み込み、利行の絵の由来から最後まで丹念に分析している。読み終わって長谷川利行についてよく分かった気がした。 カラー口絵に3図版、…

淀川長治『淀川長治映画ベスト10+α』を読む

淀川長治『淀川長治映画ベスト10+α』(河出文庫)を読む。1948年度から1997年度までの主に外国映画のベスト10が並べられ、一部日本映画のベスト10が並んでいる。解説は数行の簡単なもの。 そして「私のベスト5」と題した章は、1975年から1984年までの外国映…

かわかみ画廊の加納野乃子展「光と肌理」を見る

東京北青山のかわかみ画廊で加納野乃子展「光と肌理」が開かれている(9月6日まで)。加納は1982年神奈川県生まれ、2007年に東京造形大学美術学科絵画専攻を卒業している。2012年にギャラリー檜プラスで初個展。以来今回が3回目の個展となる。 加納はケン…

Takuro Someya Contemporary Artの岡崎乾二郎展を見る

東京天王洲アイルのTakuro Someya Contemporary Artで岡崎乾二郎展が開かれていた(8月29日まで)。岡崎は1955年東京生まれ、昨年から今年にかけて豊田市美術館で大規模な回顧展が開かれた。 岡崎に個人的な面識はないが、以前勤めていた会社の後輩が岡崎の…

ガルリSOLの松尾玲央奈展を見る

東京銀座のガルリSOLで松尾玲央奈展が開かれている(9月9日まで)。松尾は1984年、福岡県生まれ。2007年に女子美術大学芸術学部立体アート学科を卒業し、2012年に同大学大学院美術研究科美術専攻後期博士課程を修了している。博士論文は「抽象性と感情移入…

「庭の千草」と「夏の日の思い出」

NHKFMを聴いていたらローラ・ライトの歌う 「The Last Rose of Summer」が紹介された。それはとてもきれいな歌声だった。 https://www.youtube.com/watch?v=UUpG_mlU1dM この「The Last Rose of Summer」は日本では「庭の千草」の名前で小学校で歌わされた記…

長谷見雄二さんの菅木志雄作品論

私の昨日の「スパイラルガーデンの菅木志雄展を見る」に、長谷見雄二さんがコメントを寄せてくれた。その内容が菅木志雄作品論としてすばらしく、コメント欄に埋もれさすのは勿体ないと思い、長谷見さんの許可を得てここに転載する。 以下、長谷見雄二さんの…

スパイラルガーデンの菅木志雄展を見る

東京表参道のスパイラル1階のスパイラルガーデンで 菅木志雄展「放たれた景空」が開かれていた(8月27日まで)。菅は岩手県盛岡市出身、1968年に多摩美術大学絵画科を卒業し、「もの派」の主要メンバーとして活動した。2015年には東京都現代美術館で大規模…

篠田魔弧という画家がいた

篠田魔弧という画家がいた。 矢島一族 1908(明治41)年、長野県下伊那郡上郷村上黒田(現飯田市)、篠田伊義の三男として生まれる(本名篠田信義)。 戦前に2カ年ほど絵の勉強のため上京し、帰郷後は林や山中に家を建て自然児を自認し制作を続ける。 アン…

中村隆夫『象徴主義』を読む

中村隆夫『象徴主義』(東信堂)を読む。美術の象徴主義について知りたくて本書を選んだ。副題が「モダニズムへの警鐘」とあるように、中村はヨーロッパ近代の象徴主義を印象主義等モダニズムへの対抗として捉える。そして象徴主義には決まった様式がないと…

藍画廊の大場さや展を見る

東京銀座の藍画廊で大場さや展「ある日の地面-the ground of one day」が開かれている(8月29日まで)。大場は1980年宮城県生まれ、2006年に東北芸術工科大学大学院彫刻領域を修了している。2015年Hasu no hanaで初個展。 タイトルの「ある日の地面」のよう…

ガルリSOLの奥西千早展を見る

東京銀座のガルリSOLで奥西千早展「この曲について」が開かれている(8月29日まで)。奥西は2019年武蔵野美術大学大学院修士課程日本画専攻コースを修了している。 今回画廊の奥半分の壁に作品を展示しているが、その長い作品はすべて繋がっている。と同時…

細見綾子『細見綾子』を読む

細見綾子『細見綾子』(春陽堂俳句文庫)を読む。細見は1907年(明治40年)生まれの俳人、第13回蛇笏賞を受賞している。1997年に90歳で亡くなった。沢木欣一が創刊した「風」同人で、沢木と結婚後「風」編集発行人を務めた。ベテランの俳人だ。 代表作の一つ…

先崎学『将棋指しの腹のうち』を読む

先崎学『将棋指しの腹のうち』(文藝春秋)を読む。以前、先崎の『小博打のススメ』を読んでから先崎の文章のファンになった。将棋のことはよく分からないが、先崎は名文家であり、またハチャメチャなキャラクターなのだ。 先崎学は12歳で麻雀を覚えたという…