中川恵一『医者にがんと言われたら最初に読む本』(エクスナレッジ)を読む。著者は東大医学部准教授、放射線治療部門長。放射線治療の専門家だから、特定のがん部門の医者ではない。つまりがん一般についてニュートラルに語れるということだろう。
本書のタイトルに「最初に読む本」と謳っているように、基礎的なこと、がん患者の心得みたいなことが述べられている。肺がん、胃がん、食道がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんなど、20種類のがんの治療法にについて、見開き2ページで簡単に説明している。これが分かりやすくて役に立つ。
「がんが見つかったら行うこと、知っておくこと10の心得」も有益な情報だ。現代医学において、信頼できるがんの治療法として確立されているのは、手術、化学療法(おもに抗がん剤による薬物療法)、放射線治療の3つだけだと。同時に代替療法はまったく効果がないとも断定している。
私も親しい友人がすでに4人がんで亡くなっている。活司は肝臓がんだったし、ハムと小池は肺がんだった。田中はすい臓がんで亡くなった。ハムは2年の命と宣告されて治療しなかったが1年3カ月で亡くなった。あとの3人は数カ月の命だった。がんで死を宣告されたら自分の寿命が分かることになる。突然死と違って死への準備ができることになる。それはわずかなりとも幸せかもしれない。人はいずれ死ぬのだから。
がんのことをあまり深く考えてこなかったから、良い本を読んだと思う。