東京武蔵小金井のギャラリーブロッケンで柴田美智子個展「緊急避難」が開かれている(9月27日まで)。柴田は1955年東京都江東区生まれ、1980年〜83年に美学校で菊畑茂久馬に師事している。1994年日本橋好文画廊で初個展、以来ギャラリーフレスカ、Keyギャラリー、スパンアートギャラリー、新宿眼科画廊、ギャラリー・ブロッケン、SPCギャラリー、一昨年は宇フォーラムで個展を行ってきた。
ギャラリーの壁に柴田の言葉が貼られていた。
記憶が途切れ途切れで、はっきりとは辿れないような幼い頃に/殺されかけたことがあり、恐怖にかられて/体を真っ二つに切り分けてしまった。
どちらか片方だけでも生き延びられるようにと思ったのだ。
二つに切断された肉体は/痩せぎすの双子のようになるものかと思ったのに/片方は人に、片方は猿になった。
猿部分は壁を突き抜けて逃げ去り/人部分はそのまま捕まってしまった。
この文章を読んで展示を見れば、展示はほとんどこれを表現したものだった。ドローイングが1点あって、女性が猿と自分を糸で縫っている。これは何? と訊くと、もう大人になったので元には戻れないだろうと。
でも殺されかけて体を真っ二つに切り分けたって何だろう。幼い子供はほとんど野生の生物で、大人はそれを人の型にはめていく。柴田は幼い頃にそれに逆らった記憶があるのだろうか。ボーヴォワールの「女は女に生まれるのではない、女に作られるのだ」も、ある意味それと相似なのではないか。
子供や猿が座っている机や椅子は小学校で実際に使われていたもの。横たわっている下に敷かれているのは、アスファルトを撮影してそれを布にプリントしたものだという。
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柴田美智子個展「緊急避難」
2020年9月19日(土)-9月27日(日)
12:00-19:00(最終日17:00まで)
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ギャラリーブロッケン
東京都小金井市本町3-4-35
電話042-381-2723
※JR中央線武蔵小金井駅北口小金井街道を直進し、本町2丁目の交差点を右折、信号を過ぎ、右手の本町公民館の前を左折して進むと左手にギャラリーがある