エッセイ

少し精神が錯乱した

昔、一時不思議な精神状態に陥った。現実感が失われ不安に囚われた。当時そのことを簡単に記録しておいた。それが次の文章だ。 正方形、その一辺を半径として描かれた正方形の中の弧、その弧が交わっている正方形の一つの角より出発し、弧の上を時計の針と反…

帰燕せつなき高さ飛ぶ

帰燕せつなき高さ飛ぶ ――山本弘、わが敬愛する画家の思い出―― 山本弘に初めて会った時、坂口安吾の「堕落論」を読めと言われた。私が19歳、山本さんが37歳だった。美人の奥さん(愛子さん)はまだ26歳。もう36年前になる。 ぼくは弟子はとらないから先生と呼…