猫の死

 飼っていた猫が死んだ。チビ19歳と半歳(推定)だった。人間でいえば95歳くらいか。2000年9月頃公園で雨に濡れて弱っていた子猫をカミさんが拾ってきた。動物病院に連れて行くと生後2か月くらいで、寄生するノミが多く野良の母猫が生んだものだろうと診断された。
 家には1年前にやはり公園でカミさんが拾ってきた子猫がいた。兄貴分の猫プーは拾ったときまだ歯も生えそろっていなくて、おそらく生後1カ月にもなっていなかった。そんなにも幼い時に母猫から離されたプーは猫の常識があまり身についていなかった。鳴き声なども弟分のチビから教わったし、食事中にチビがカリカリ(エサ)を横取りしても何ら抵抗しなかった。1年間の猫の成長はずいぶん体の大きさの違いに現われていたにも関わらず。
 プーもチビもマンション猫だった。ほとんど外へ出たことがなかったので外出を怖がった。そのプーは一昨年秋に18歳で死んだ。2匹の猫はカミさんと娘が可愛がっていたが、カミさんは13年前に去って行った。娘も5年前に独立し、以後私が1人で猫たちの面倒を見ていた。私はどちらかといえば兄貴猫プーを可愛がっていたが、2年前にプーが死んでチビと私だけの生活になった。毎朝目ざめるとチビのエサを用意し、私が椅子に座って朝食を取っているとチビが寄ってきて膝に上りたがった。腿の上に横になったり、私の太腿を太い枝のようにまたいでくつろいだりした。毎朝10分間前後そんな時間を過ごすと降りて自分の住処としている箱へ入って行った。そんな状況を娘に共依存だよと冗談で話した。
 昨年夏8月に入ってから突然チビの具合が悪くなった。エサを食べなくなって体調も悪そうだった。動物病院へ連れて行くと腎臓の値がかなり悪化していた。医者の指導に従って薬を飲ませたりしていたが、脚が急速に弱りよろよろとした歩行しかできなくなった。時間ごとにトイレへ連れて行って排せつの介助をした。そのうちに脚がさらに悪化し、ついに歩行困難になった。医者の指導で何か月か前から自宅で皮下点滴(輸液)を続けた。食事も排せつも介助していたが、ついに全く立てなくなり寝たきりになってしまった。半月ほど前からおむつを当てた。猫は尻尾があるのでおむつがずれなくて安定した。
 食欲は最後まであったが摂取量は極端に少なくなった。水があまり飲めなくなった。体重は最盛期の5.5kgから3.3kgまで落ちた。最後の半月ほどは何度か痙攣した。ひどいときはこれで死ぬかと思った。医者から痙攣の予防薬としてフェノバール(フェノバルビタール)を処方され、以後痙攣をおこしても症状は軽くなった。このバルビタールって私が若い頃使った睡眠薬と同じではないかと思った。
 亡くなる3日前ほどからチビの反応が鈍くなった。エサには強く反応したが日常目を大きく開いているだけの時間が多かった。夜もそのまま起きているようだった。亡くなる前夜、もう1週間持たないかもしれないと思った。チビのために泊まり込んでいた娘が早朝4時過ぎに私を起こしチビが死んだと告げた。チビの体はまだ暖かかった。
 8年前に「子猫と大人猫はどちらが魅力的か」という投稿をした。そこでチビを紹介したのでその全文を再掲する。

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 うちのチビの11年前の写真が植物図鑑に載っている。イネ科のエノコログサを紹介するページで、ネコジャラシの別名があることを言っている。そこにこの写真を出し、「エノコログサの穂にはネコがよくじゃれる。」というキャプションを付けている。
 そのため家のベランダで、近くの公園から拾ってきたばかりの子猫をエノコログサでじゃらして撮影した。当時生後2カ月は経っていなかったのではないか。いまでもこの写真を見ると何て可愛かったのかと見入ってしまう。
 と言いながら、現在のチビの写真と比べると、成猫となったチビには知性がはっきり感じられ、魅力でいえば大人猫に軍配が上がるだろう。

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 エノコログサにじゃれている写真は岩瀬徹・川名興『雑草博士入門』(全国農村教育協会)に掲載されている。

 

 

たのしい自然観察 雑草博士入門

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  • 作者:岩瀬 徹,川名 興
  • 出版社/メーカー: 全国農村教育協会
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 単行本