2割増量という贅沢


 正月だから同居している猫にカリカリと呼んでいるキャットフードを多めにやった。普段のメニューは、朝カリカリを2匹に合計10グラム、昼近くにまた10グラム、夕方〜夜にかけて猫缶を2匹に1缶、そしてカリカリを65グラムと決めている。この決まりはそもそも猫たちを拾ってきたカミさんが決め、それを彼女がいなくなってからも娘と私が几帳面に踏襲しているものだ。
 それで、正月だったので朝のカリカリを2割増量して12グラムやった。そのことを娘に話すとたった2グラムかあと言う。2グラムと言えば少ないようだが、2割と言えば大きいのだ。100万円もらうところを120万円もらうことになる。20万円も多いのだ。20万円あったら何を買う? と問うと娘も考え込んでいる。その豪華な20万円を猫たちは一瞬で食べてしまったのだ。何という贅沢だ。
 別の例で言えば、父さんの体重は苦労していま60キロまで落とした。以前最も太っていた頃は67キロだったのを憶えているかい? その60キロが2割増えたら72キロになってしまう。2割という数字がどんなに大きいか分かるだろう。ここまで話すと娘もようやく納得してくれた。
 納得、したよね。