岩波新書編集部編『日本の近現代史をどう見るか』を読む

 岩波新書編集部編『日本の近現代史をどう見るか』(岩波新書)を読む。「シリーズ日本近現代史」の第10巻、ちょうど10年前に発行されている。当時一度読んでいるが今回改めて読み直した。
 この「シリーズ日本近現代史」は9人の研究者らが1巻から9巻までを分担して執筆している通史だ。それは『幕末・維新』『民権と憲法』『日清・日露戦争』『大正デモクラシー』『満州事変から日中戦争へ』『アジア・太平洋戦争』『占領と改革』『高度成長』『ポスト戦後社会』となっている。
 私は昔、日本近現代史が好きでこのあたりをよく読んでいた。9冊のうち「民権と憲法」を読んだきりだったが、昔読んだものと比べて研究がいっそう進んでいる印象があって驚いたことを憶えている。残りの8冊も読むつもりでいたのに、結局そのままになってしまった。
 本書は9人の執筆者たちが、改めて自分たちの執筆を振り返り、ダイジェストをしたり反論に答えたりしている。ある意味シリーズのレジュメのような機能を備えている。自分の関心とどう重なっているか、どのような姿勢で書かれているかがよく分かり、読書の参考になるだろう。また日本近現代史の通史的なものとしても読むことができる。
 本書では加藤陽子が「1930年代の戦争は何をめぐる闘争だったのか」を書き、吉田裕が「なぜ開戦を回避できなかったのか」、雨宮昭一が「占領改革は日本を変えたのか」などを書いている。
 またそれぞれがそれぞれの分野に関して「お薦めの5冊」を挙げていて、これも参考になりそうだ。
 本書も含めて良い木格だと思う。