コバヤシ画廊の村山隆治展を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊で村山隆治展が開かれている(5月27日まで)。村山は1954年茨城県生まれ。1980年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。個展の回数は多いが、特にコバヤシ画廊では今回が14回目となる。
 村山は特殊な方法で作品を作っている。ガラス絵の技法だ。村山はガラスではなくアクリル板を使う。ガラス絵同様に裏面に描く。キャンバスに描くのとは違って、最初に置いた絵具が一番の表面になる。キャンバスに描いた場合は、最後に置いた絵具が表面になるのと正反対なのだ。
 一番大きな作品は左右4m近くある。描いてひっくり返して裏面から確認する。アクリル板をひっくり返して見るのは重量の関係で大変だという。作品の大きさを規定するのはこの重量だとのこと。今回、油彩とコンテ、木炭にアルミ箔を使っている。

「nora. Lu」 390.9cm×162.0cm



 なんだか艶(なま)めかしいですねと言うと、そう感じるのなら手を使って描いているせいでしょうとのこと。掌で描いているらしい。その筆触ならぬ掌触(私の造語)から艶めかしさが生まれるのだろうと言われると納得するものがある。大きくのたうっているような曲線が手の動きの跡だと言われれば、たしかにそれは艶めかしさに通じるのだ。
 ガラス絵の技法でこんな大きな作品を作っている作家は他にいますかと訊いたが、知らないとのこと。きわめて独創的な方法だろう。村山の作品と異なり、ガラス絵はその小ささからどこか工芸的なものになってしまう。ここでも大きさは弁証法的に意味を変えるのだ。
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村山隆治展「色が呼ぶ」
2017年5月22日(月)−5月27日(土)
11:30−19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/