エドワード・ヤン監督『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を見る。(「クー」は牛編に古のつくりの漢字)1991年制作の台湾映画。236分、4時間弱の長編映画を1週間限定でシネスイッチ銀座で夕方6時から毎日1回だけ上映している(5月5日まで)。劇場のホームページから、あらすじ。
1960年代初頭の台北。建国高校昼間部の受験に失敗して夜間部に通う小四(シャオスー)は不良グループ?小公園“に属する王茂(ワンマオ)や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。 小四はある日、怪我をした小明(シャオミン)という少女と保健室で知り合う。彼女は小公園のボス、ハニーの女で、ハニーは対立するグループ?217”のボスと、小明を奪いあい、相手を殺して姿を消していた。ハニーの不在で統制力を失った小公園は、今では中山堂を管理する父親の権力を笠に着た滑頭(ホアトウ)が幅を利かせている。
小明への淡い恋心を抱く小四だったが、ハニーが突然戻ってきたことをきっかけにグループ同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく・・・
4時間という時間が決して長くなかった。台湾映画といえば、侯孝賢(ホウシャオシェン)の『悲情城市』を思い出す。その映画を見るまでほとんど興味のなかった台湾が、それ以後好きな国のひとつになった。その映画も戦後の台湾の政治状況(内省人と外省人との対立)のなかで、変転するやくざの家族を描くことによって、台湾の内政の問題や社会や人情が描かれていた。この『クー嶺街少年殺人事件』もまさに『悲情城市』に次ぐ傑作だと思う。