ギャラリーカメリアの堀由樹子展「庭、前線」を見る


 
 東京銀座のギャラリーカメリアで堀由樹子展が開かれている(5月28日まで)。堀は1971年東京生まれ、1994年に東京造形大学絵画専攻を卒業し、1995年に同大学絵画専攻研究生を修了している。1995年にJ2ギャラリー、その後なびす画廊、ギャラリー山口、ギャラリー千空間、パーソナルギャラリー地中海などで個展を開いている。
 堀は初期から変わらず木のある風景、山や森、庭を描いている。色彩が美しい。寒色と暖色を重ねて描いていて、それは透明性の不良なアクリル板を通して見たとき向こうの風景が虹のように滲んで見えるのを連想する。これはボナールの色彩にも共通するのではないか。色彩の饗宴という言葉がふさわしいように思える。




 20年前、抽象絵画が幅を利かせていた頃から、堀は一貫してこの画風を続けてきた。抽象でもなく、写実的な具象でもないそれらの中間のような堀の絵画。20年の間に絵画の流れが完全な抽象から半具象的なところへ戻ってきつつあるような印象を受けている。野見山暁治、中津川浩章、浅見貴子、加藤泉、等々。堀の画風が20年前の周辺から中央に押し出されてきたと言えるのではないか。
 今回の個展に際して、東京国立近代美術館大谷省吾美術課長がとても良い紹介文「絵のなかの散歩へのおさそい」を寄せている。ぜひ画廊でもらって読んでみてほしい。
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堀由樹子展「庭、前線」
2017年5月16日(火)〜5月28日(日)
12:00〜19:00(最終日17:00まで)5月22日(月)休廊
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ギャラリーカメリア
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル 5階502号室
奥野ビルは昭和初期に建てられた古いビルで、巷房など画廊が十数軒入っている銀座の名物ビル
http://www.gallerycamellia.jp/