東京都中央区「人形町Vision's」の堀由樹子展を見る（３月16日まで）。堀は1971年東京生まれ、1994年に東京造形大学絵画専攻を卒業し、1995年に同大学絵画専攻研究生を修了している。1995年にJ2ギャラリー、その後なびす画廊、ギャラリー山口、ギャラリー千空間、パーソナルギャラリー地中海などで個展を開いている。2001年のかわさきIBM市民文化ギャラリーでの坂木優子との２人展も印象に残った。
堀のテキストから、
窓の外に広がる世界を眺める。／そこには長大な時間が築いた土地の形と／人びとの営みがある。／目を凝らせば気づく速度で、／或は感知できないほどゆっくりと／留まることなく変化し続けている風景は、／人の手によって形作られるものと、／時にそれを凌駕する力、ふたつの均衡によって成り立っている。些末な事柄がつづく日常の道すがら、／ふと目を奪われ立ち止まる。／たとえば矩形で切り取ってみたとしたら、／それは美しいものになるだろうか。
堀の作品はすべて現実の風景を描いたものに思える。「たとえば矩形で切り取ってみたとしたら、／それは美しいものになるだろうか」と堀が書いているが、山や道や畑が確かに美しい作品になっているのだ。具象の顔をわずかに残しながら、抽象に歩み寄っている堀のような作風の画家が少なくなっているように思う。堀は自然の豊かな形象をすくい上げて、確固たる自分のスタイルの作品を作り上げている。
そして堀の特徴のひとつは色彩の美しさだ。遠くボナールの色彩を連想させるような。
ちょうど近くのギャラリー・ハシモトでも堀と同時代くらいの津上みゆき展が開かれている（３月30日まで）。最近の若手作家たちには、堀や津上のような優れた抽象的な作風の作家が見あたらなくなってしまった。
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堀由樹子展「はれ時々くもり」
2013年２月26日（火）−３月16日（土）
12：00−19：00（最終日17：00まで）日曜休廊
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人形町Vision's（ヴィジョンズ）
東京都中央区日本橋堀留町2-2-9 ASビル１Ｆ
電話03-3808-1873
http://visions.jp
東京メトロ日比谷線＆都営浅草線「人形町」駅A4/A5出口徒歩３分
都営新宿線「馬喰横山」駅A3出口徒歩10分
