友人の1周忌に詠める

友人の一周忌に
渦を巻く炎に乗って君は去り風越(かざこし)の峰木立さやげり


友人の住居址に立って
谷に向く君の姿に重ねれば朝ごとに見し君の視界が


酒瓶にひそと沈める黄なる実の焼け跡近く花梨立ちたり


黄金なる花梨をひとつ手に載せて業火と煙の記憶を問えり


かりん二つ君が賜いしものなれば酒瓶の底静かに沈めん


谷間に君の墓立ち振り向けば天竜遙か風越の山