プレイボーイ、またはマメ男、あるいは人非人

 知人に30歳くらいのプレイボーイがいた。いや正確には女たらしと言うべきか。常時5人ほどの女性と付き合っている。付き合う女性の第一条件が独り住まいだという。どんなに気に入っても家族と同居している女性とは付き合わない。どうして?
 彼は家族と同居している。自宅でデートするわけにはいかない。仮に1人と週に1回デートしても月に4回だ、それが5人、4回×5人で20回、つまり月に合計20回デートすることになる。その20回のホテル代は16万円にもなってしまう。だから独り住まいであることがどうしても譲れない条件なのだという。
 誕生日やバレンタインなどでプレゼントをもらうときは全員から同じ品を贈ってもらい、4個は売り払ってしまう。これって人非人だ。でも評判になった映画を見るときは同じ映画を5回見る。これは少しだけ同情する。それから彼女たちを同じ名前のニックネームで呼んでいる。名前を間違えないためだ。これには絶句。
 こんなにも大勢の女性との付き合いを継続させて飽きないのは、いや飽きないと言うより満足しないのは、ある種の飢餓感ではないだろうか。私も一時絵画切手などささやかなコレクションに凝ったことがある。集めても集めても満足しないのだ(まあ大して集めた訳ではなかったが)。この経験から類推すれば、彼は不幸ではないが決して幸福ではないだろう。