サッカーの指導方法が間違っている

 私の住むマンションの隣が小学校で、毎日曜日少年サッカーチームが早朝練習をしている。コーチだか監督だかが少年たちを怒鳴る声が聞こえてきて、それが不愉快だ。中村俊輔を少年のとき指導した人にそのことを話したら、子どもたちを怒鳴ってはいけない、子どもたちにはサッカーがどんなに楽しいかを教えるのが大切なのだと言われた。
 そのことを小学校から大学までサッカーをしていた青年(31歳)に話すと、自分も怒鳴られた、怒鳴られたことでサッカーが上達したことは全くなかった。練習もすべて無駄だった。理論的に研究されていなくて、無意味な練習をさせられていた。自分より上の世代の指導はすべて駄目だと手厳しい。理論的な正しい指導を受ければ、100メートルを15秒で走っていた者が13秒で走れるようになる。
 フィギアスケートのスピンがだんだん速くなり、最後にピタッと止まれる原理を理論的に説明できない体育の教師は、体育を教える資格がないと。


 私は幸いなことに体育の教師ではないのでなぜかと聞いた。
 腕を開いて体を大きくすれば回転は遅くなる。ついで腕を体に付けて姿勢を閉じれば回転は速くなる。最後に大きく腕を広げれば回転は止まるのだと教えてくれた。
 早稲田大学出身の賢い青年だった。大学受験の際の偏差値は75だったという。私が今まで現実世界で会った尊敬できる人はたった二人だった。わが師山本弘と義父だ。おそらく二人とも偏差値は60台だろう。しかし特に義父は教養においてすばらしい人だ。私がとても敵するところではない。