バニーガールのいる店ではどう振る舞うべきか

 出版社に在籍していたとき、出版営業について教えを乞いたいと、カミさんの叔父さんにお願いした。叔父さんは大きな出版社の取締役をしている。某日夜7時に赤坂見附駅に来いと言われた。会うとすぐ駅近くの会員制クラブに案内された。ここで初めて本物のバニーガールを見た。
 鞄からノートを取り出して話を聞こうとすると、叔父さんは出版部門とは違うところにいるので分からないと言う。しばらく雑談をしながらお酒をご馳走になり、それからタクシーで叔父さんの会社に行った。残業をしている出版営業の社員を呼んできて話を聞きなさいと言う。社員も私も困ってしまった。
 後日、義父から叔父さんがこう言っていたと聞いた。あの男は無粋なやつで折角いい所へ連れて行ってやったのにそこでノートを広げやがった。
 いや自分でも違和感があったのだけれど、教えを乞うて連れて行かれたのだし、それ以上にバニーガールのいる店での振る舞い方を知らなかったのだ。今も知らないけど。デレデレ見ているのも何だし、触っちゃいけないだろうし、隣りに座るわけではないから会話するとも思えないし。まあ、もう行く機会はないだろうから知らなくてもいいのだが。