川合光『はじめての《超ひも理論》』を読んで

 川合光『はじめての《超ひも理論》』(講談社現代新書)を読む。副題が「宇宙・力・時間の謎を解く」とある。一応読んだと書いたが、実は極めて難解な本で、内容はほとんど理解できなかった。ところどころ興味をひかれた部分があったくらい。もう多次元宇宙が当たり前のような感じに書かれている。
 で、ここでは難解な内容ではなく、ブックデザインについて触れてみる。本書は2005年12月20日の奥付があり、私はその翌日購入している。以来、14年間本棚に差されたままだった。その間に大きく変わったことがある。この講談社現代新書の背表紙のデザインだ。ちょうどこのころこの現代新書のカバーデザインが新しくなった。それまでのカラフルな杉浦康平のデザインに代えて中島英樹のシンプルなデザインに変更した。表紙は白地に墨のタイトル、中央に大きく青とか茶とかの四角を置いた。同じ色で背表紙を刷り、タイトルや著者名を白く抜いた。表紙の四角や背表紙の色は本によって何色も使った。書店の本棚に並べるとカラフルで「クレヨン箱のよう」と編集部が自賛していた。
 ところが書店で見ると、雑多な色合いが講談社現代新書シリーズという統一感を与えなかった。岩波新書中公新書のようなまとまりが感じられなかった。おそらく講談社でもそれは気づいたらしく、しばらくしてまたデザインが大幅に変わった。背表紙だけだが、白地にして中央に表紙と同じ色の四角を置いたデザインにしたのだった。それが現在も踏襲されているデザインだ。
 私が持っている川合光『はじめての《超ひも理論》』はその過渡期のデザインのものだった。ほかにもまだ読んでないが、永井等『私・今・そして神』も同じデザインだ。これは2004年10月発行となっている。すると、このデザインを2、3年は続けていたのだったか。そしてある時、講談社の営業マンが恐らく大量のバイトも動員して全国の書店の講談社現代新書のカバーを一斉に取り換えたのだろう。やれやれ……。

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私の本棚の講談社現代新書(川合光と永井均だけが古いデザイン)

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書店の講談社現代新書の棚

 

 

はじめての〈超ひも理論〉 (講談社現代新書)

はじめての〈超ひも理論〉 (講談社現代新書)