出版

「ぼくらの頭脳の鍛え方」が面白い

立花隆・佐藤優の「ぼくらの頭脳の鍛え方」(文春新書)が面白い。副題が「必読の教養書400冊」で、それはすごいブックリストだ。そして同時に二人が語るエピソードがチョー受ける。特に佐藤優の暴露するスキャンダルが抱腹絶倒ものだ。 佐藤 中江兆民につい…

本の装丁展を見る

知人のM田さんに誘われて千代田区神田錦町にあるギャラリーKaNDaDaへ高麗隆彦・桂川潤の装丁展を見に行く。桂川潤がM田さんの知人である画家の桂川寛の息子に当たるという関係だ。桂川寛さんの個展はアートギャラリー環で何度か見たし、5年前に発行された自…

100万部売れた「思考の整理学」

外山滋比古「思考の整理学」(ちくま文庫)が100万部売れているらしい。1986年に発行されて、その後20年間で17万部売れた。それが2年前盛岡の書店員がPOP(販売時点広告=商品の側に立てた宣伝カードなど)に「もっと若い時に読んでいれば……そう思わずには…

組版の法則ーー冒頭の1字落とし

昔の日本の出版では改行もなかったし文章の冒頭の1字落としもなかった。句読点すらなかった。それらはすべて欧米の組版の方法を取り入れたものだ。段落ごとに改行し、改行した後は1字落とす。 活版の時代に組版について細かな約束ができあがった。ただ曖昧…

「現代プレミア ノンフィクションと教養」がお勧め

「月刊現代」が休刊した講談社から佐藤優責任編集なる「現代プレミア」と冠のついた「ノンフィクションと教養」というムックが出版された。定価1,200円。ノンフィクション好きの私にはこたえられない企画だ。 まず10人がそれぞれ100冊ずつのノンフィクション…

片山杜秀の推薦する「宮本武蔵」

もう10数年にわたって毎週日曜日、朝日毎日読売の3紙を買い集めている。書評を読むために。新聞の書評はおびただしく出版される新刊書の何を読めばよいかを示してくれる海図なのだ。あてにならないことも多いけれど、それがなければ何を頼ったらいいのか? …

「ハチはなぜ大量死したのか」を読んで

ハチはなぜ大量死したのか作者: ローワン・ジェイコブセン,中里京子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/01/27メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 64回この商品を含むブログ (78件) を見る ローワン・ジェイコブセン「ハチはなぜ大量死したのか」(文藝…

ベストセラーを頻出していた草思社がなぜ倒産したのか

昨年、一時はベストセラーを頻出していた出版社草思社が倒産し、自費出版で台頭してきた文芸社に買収されてその子会社となった。いったい何が起きたのか? 草思社といえば「なぜ美人ばかりが得をするするのか」「他人をほめる人、けなす人」「謝らないアメリ…

キャプションのない写真集

以前、自費出版した写真集を販売してくれないかという依頼があった。アマチュアカメラマンが海外で撮影した海の生物の写真集だった。見たことのない珍しい生き物が写っている。でもこれは売れないと断った。写真に一切キャプションが付いていないのだ。写っ…

中澤まゆみ「おひとりさまの『法律』」を勧める

上野千鶴子「おひとりさまの老後」(法研)の姉妹書として同じ出版社から中澤まゆみ「おひとりさまの『法律』」(法研)が出版された。著者の中澤は高校の時の同級生で、先日一緒に飲んだときに読んでよと言われた。普段この手の本を手に取ることは少なかっ…

組版の規則

活字の時代から写真植字(写植)に代わり、それもいまはDTPになった。活字では物理的な条件による規制が大きく、自由が少なかった。それでか、組版にさまざまな規則があった。 改行した次の文章の頭を1字落とすときも、最初に「が来る場合、1字(全角)空…

4,000円の図鑑が、27年で298,000円に値上がりした

Amazonで河合省三「日本原色カイガラムシ図鑑」の中古本が298,000円で売られている。もうびっくりした。私もきれいな本を1冊持っている。何しろ27年前に私が編集した図鑑なのだ。当時の定価が4,000円、まだ消費税はなかった。印刷部数が4,000部、それを20年…

出版物の部数のいろいろ

亀山郁夫は「カラマーゾフの兄弟」の新訳が何十万部も売れたロシア文学者だ。しかし亀山郁夫+佐藤優「ロシア 闇と魂の国家」(文春新書)という対談集を読むと、売れない本が多かったらしい。 亀山郁夫 ぼくは、きっと自分の能力もあるのでしょうが、初めか…

講談社現代新書のデザイン

講談社現代新書のブックデザイン(装幀)が変わっていた。長らく杉浦康平のデザインが採用されていたが、去年だったか中島英樹のシンプルなものに一変した。表紙に赤や青や緑などの大きな四角を配置し、背に同じ色を敷いてタイトルの黒い文字を乗せた。色が…

お粗末な図鑑がある

広田伸七・編著「ミニ雑草図鑑」のまえがきに次のような一節がある。 「雑草と言う言葉はない」昭和天皇のお言葉である。確かに夏の道端で焼けるようなアスファルトの裂け目に、したたかにも生長する雑草。1週間も放っておくと忽ちはびこってくる庭の雑草に…

某出版社からの手紙

年末に求人の面接を受けた。地方出版社の編集者募集だ。ハローワークの求人票にはこう書かれていた。 ・ベストセラー(もしくは、歴史・美術系の良書)の出版を目指し、ベテランを探しております。企画と編集作業(DTPは出来なくてよい)を東京でして頂きま…

署名原稿は直さない

あるメーカーのPR誌に農林水産省のお役人から原稿を書いてもらった。私の部下の編集者が、文中分かりにくい箇所があるので直したいと許可を求めてきた。二つの理由で駄目だと言った。 まず署名原稿であること。普通署名原稿に手は入れないし、入れるときは最…

雑誌は見開き、そしてソロモンの指輪

ここに写真で紹介する植物図鑑が使いにくかった。左ページ上段がクロヅル(ニシキギ科)だが、矢印Aの写真もクロヅルなのだ。左ページ下段の左半分がミツバウツギ(ミツバウツギ科)で、右ページ上段がショウベンノキ(ミツバウツギ科)、右ページ下段がゴン…

流行の活字

パソコンが普及してきて書体に影響が出てきた。モニター上では見やすさからゴチックが多く使われている。縦線と横線が共に太いので見やすいのだ。 紙媒体では違っている。ダントツに多いのが明朝体だ。縦線が太く横線が細くてきれいだと思う。ゴチックだと紙…

出版の印税にまつわる雑談を少し

みすず書房の元重役の回想録を読んだことがある。題名を失念してしまったが。そこで印象的だったのは、戦後みすず書房でも小説を出版していたというくだりだった。現在みすず書房の中心は人文書、とくに社会学や哲学、歴史などではなかったか。なぜ小説の出…

本の奥付に関する衒学的考察などなど

本の最後のページに書名や著者名、発行所などが印刷してあるが、これを奥付という。普通は発行日、著者名、発行所、印刷所などが記してある。本によっては、さらに印刷日、発行者(発行所の社長名)なども併記されている。昔は印刷者(印刷所の社長名)も記…

岩波書店など、出版社の労働環境

だいぶ前になるが、岩波書店が梅棹忠夫の本を初めてDTPで作ったとき、経費が節減できて本の定価を2割安くできたと話題になった。編集担当者の講演があったので話を聞いてきた。(DTPとは活版や写真植字ではなく、コンピューターを使って本を作ること) ワー…

自費出版した本がなぜ書店に並ばないか

共同出版方式で自費出版した本がほとんど書店に並ばなかったと出版社を訴えた著者が話題になっている。なぜ並ばないか、書店と出版社の関係があまり知られていないと思う。 まず書店に並んでいる本のほとんどは書店のものではない。書店は出版社から預かって…

名物編集者ヤスケン(安原顕)の毀誉褒貶

宮田毬栄「追憶の作家たち」(文春新書)には中央公論社で編集者をし、「海」の編集長も務めた宮田毬栄が親しく付き合った7人の作家たちのエピソードが紹介されている。松本清張、埴谷雄高、石川淳、大岡昇平、島尾敏雄、西条八十、日野啓三と錚々たるメン…

国語辞書だけでなく、植物図鑑も

三省堂の「新明解国語辞典」は編集主幹の山田忠雄によるユニークな解説で有名だ。その一つ「おやがめ」は次のように書かれている。 おやがめ(親亀) 親に当たる大きなカメ。「(速口言葉で)ーの背中に子ガメを乗せて、子ガメの背中に孫ガメ乗せて、孫ガメ…