自費出版の売られ方

 以前、自費種出版について書いたことがあったが、そこで自費出版の本は書店には並ばないと書いた。ところが最近都内の中型書店で、自費出版の本が書店の棚に並んでいるのを見つけた。写真がそれだが、この書店では新潮選書や講談社選書メチエ、中公叢書、NHKブックス、朝日選書、角川選書などの堅い選書シリーズの一角にまとめて並べられていた。そこでは『業務マニュアル活用』とか『にびいろのひ』とか、エッセイや歴史書、小説など雑多な書籍がまとめて並べられていた。それらの書籍に共通するものはなく、ただ同一の自費出版専門の出版社から発行されたものだけだ。

 広い書店で人は自分の関心のあるジャンルが置かれている棚に行く。海外ミステリとかブルーバックスなど理系の新書とか、週刊誌や地図、料理本など。だから、この自費出版の棚に来るのは、自分も自費出版をしている人に過ぎないだろう。自分の本が並んでいるかどうか確認するためだ。
 自費出版専門の出版社が、書店の棚をこんな風に確保するのは、自費出版した著者にあなたの本も書店に並んでいますよとアピールするのが目的なのだろう。そしてこれらの書店で売れることは、出版社も書店もほとんど期待していないに違いない。いわば著者へのアリバイ工作なのだと言い切っては言い過ぎか。
 6年前に書いた、自費出版した本が書店に並ばないわけは下のエントリー。


自費出版した本がなぜ書店に並ばないか(2007年7月7日)