練馬区立美術館の「遊べる浮世絵展」を見る

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 東京練馬区立美術館で「遊べる浮世絵展」が開かれている(6月9日まで)。副題が「くもんの子ども浮世絵コレクション」。塾の公文のコレクションを展示している。公文だから子ども向けの浮世絵展である。子どもが描かれていたり、子どもが喜びそうな妖怪やらが描かれている作品が選ばれている。風景なんかは子どもの興味を引かないだろうと思ったのか、広重がなかった。
 意外と歌麿が多く、母子なんかを見事に描いている。人物描写というか女性を描かせたら歌麿は随一だ。ほかに国貞や英山なども多かった。私の好きな英泉なんかは退廃的だから当然選ばれない。
 さて、しかし親が子どもを連れてこの浮世絵展に行くだろうか。数ある美術展でわざわざ浮世絵を選ぶだろうか。私も娘が小学校低学年のころ富岡鉄斎展に連れて行ったことがあったけど、それは子どもを一人留守番させることができなかったためだ。「なんでこんなむかしの絵を見なきゃいけないんだ」と非難された。また娘が4歳のとき、私が一人で娘を連れて東京国立博物館の「日本の陶磁」展に行ったときは、空前絶後の大陶磁展という触れ込みだったのに、当然何の興味もない娘を肩車して、次の部屋、次の部屋と催促するのに合わせてほとんど何も見ず館内をただ通過したことがあった。小学校何年生のときだったか、娘が自分から見に行きたいと要求して行ったのは、ヘンリー・ムーア展だった。
 公文の浮世絵コレクションを展示するという企画なのだが、展示数も百数十点もあるのに、大人にとっても子どもにとってもどこか的外れなのではないだろうか。だって、浮世絵の花ってちょっと妖しい美人がじゃないですか。春画とまでは言わなくても……。
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「遊べる浮世絵展」
2019年4月28日(日)-6月9日(日)
10:00-18:00、月曜日休館
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練馬区立美術館
東京都練馬区貫井1-36-16
電話03-3577-1821
http://www.neribun.or.jp/museum/
西武新宿線中村橋駅徒歩3分