東京銀座の銀座エルメス フォーラムで湊茉莉展「うつろひ、たゆたひといとなみ」が開かれている（6月23日まで）。湊は1981年京都府生まれ、現在フランスパリ在住。京都市立芸術大学、同大学院で日本画を専攻した後、パリ国立高等美術学校に留学し、壁画等を研究しているという。今回が日本での初個展となる。
ギャラリー内にはドローイングや桂離宮を模した空間というインスタレーションが展示されているが、今回のメインはエルメスのビル西側のガラスブロックの壁面に湊が描いた巨大なドローイングだ。ギャラリー内にその制作を記録したビデオが上映されているが、作業用クレーンやゴンドラに乗った湊がビルの外で、大きなブラシで直接壁面に描いているのが映っている。パフォーマンスとしても見事だ。
こんな企画が誕生したのは、おそらくエルメスの西側にあったソニービルが取り壊されたことが発端だったのではないか。ソニービルは来年のオリンピック後に再建されると言う。つかの間のチャンスなのだ。エルメスビルのガラスブロックに透明フィルムを貼り、その上から湊が描いている。しかしフィルムは6月2日をもってすべて剥がされ、作品は消えてしまう。なおエルメス フォーラムの内側にもドローイングが描かれている。
企画はエルメス フォーラムのキュレーターが提案したものだろう。巨大な壁面に作品を描ける作家を探して湊を採用したのではないか。とてもおもしろい企画だったが、巨大な壁面一杯に短期間で抽象的なドローイングを描くというのは難しい作業で、作品が大味になってしまうのはやむを得ないことかもしれない。
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湊茉莉展「うつろひ、たゆたひといとなみ」
2019年3月28日（木）－6月23日（日）
11：00－20：00（日曜は19：00まで）いずれも入場は30分前まで
4月12日（金）休館
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銀座メゾンエルメス フォーラム
東京都中央区銀座5-4-1 8階
電話03-3569-3300
http://www.maisonhermes.jp/
