新宿高島屋の大河原愛展を見る

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 東京新宿の新宿高島屋美術画廊で大河原愛展が開かれている(6月3日まで)。大河原は2004年武蔵野美術大学大学院を修了している。2008-2010年にかけてニューヨークに滞在。新宿高島屋を中心に個展を開催している。
 高島屋のホームページから、

大河原愛氏は、NY滞在中にアメリカのコンテンポラリー・アートや、フランシス・ベーコンエゴン・シーレのような近代絵画の影響を受け、皮膚の下から浮かび上がる骨格や人体の美しさを表現されています。

 大河原のコメントを引く。

腕や頭部の欠損したギリシャ彫刻がより美しく見えるのは、不完全であることがむしろリアルであるからかもしれない。
完璧でバランスのとれたフォルムよりも、私は不完全で不均衡なフォルムにそそられる。
精神に形は存在しないが、精神は何らかのフォルムを持っているように思えてならない。
私は常にそういった感覚的なフォルムを見つけ出そうと試みている。
私は、人の心の闇と痛みと、そこから滲み出る光を描き出したい。

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 具象的な人物像が描かれ、その上から粗い筆触で人物像が消されている。いま写実的な美しい人物像を描くことは時代に背を向けた無反省な試みに過ぎないのではないか。大河原は美しい人物を描きながら、次の瞬間にそれを消している。それこそが現在を体現した誠実な制作態度ではないだろうか。
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大河原愛展
2019年5月22日(水)-6月3日(月)
10:00-20:00(金・土は20:30まで、最終日は16:00まで)
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新宿高島屋10階美術画廊
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
電話03-5361-1111
https://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/topics/art.html#contents