松濤美術館で中西夏之展が始まった

 渋谷区立松濤美術館中西夏之新作展が始まった。東京オリンピックの頃、中西は高松次郎赤瀬川原平と3人でハイレッドセンターという名前で都内でハプニング=パフォーマンスを繰り返した。白衣を着て銀座の清掃をしたり、何やら無意味な行為を繰り返していた。この英語名は3人の姓の最初の1字を並べて英文にしたものだ。
 その後高松次郎は「この七つの文字」と書いた作品を発表したり、影だけを描いたり、概念的な方向へ進む。赤瀬川は扇風機を梱包したり、偽千円札を作って裁判に巻き込まれたり、世界の缶詰と称して空の缶詰の内側にラベルを貼った作品を発表している。扇風機の梱包はクリストより早かった。
 中西夏之は布に洗濯ばさみを貼り付けた作品を発表していたが、やがて白と紫の不思議な美しい抽象絵画を描き始める。手が自由に描かないように絵筆に1メートルくらいの棒をつけて描くのだ。
 作品は美しいのだが、制作理論がとてつもなく難しい。数年前東京都現代美術館で講演会を聞いたときも何を言いたいのかさっぱり分からなかった。それは以前ブログに書いたことがある。(id:mmpolo:20070506)
 松濤美術館で来月5月11日に中西夏之講演会がある。またあの難解な話が聞かれると思うと今から楽しみだ。そう言えば私の好きな金井美恵子の小説の主人公に夏之さんというのがいるが、これは中西の名前から採ったのだろう。