講談社現代新書のブックデザイン(装幀)が変わっていた。長らく杉浦康平のデザインが採用されていたが、去年だったか中島英樹のシンプルなものに一変した。表紙に赤や青や緑などの大きな四角を配置し、背に同じ色を敷いてタイトルの黒い文字を乗せた。色が様々なので本棚に並べたときクレヨンの箱のような楽しさだと自賛していた。しかし、書店の棚に並べたときバラバラな印象で統一感が失われ、競合する他社の新書に比べて存在感が薄いと思われた。さすがに講談社もそれに気づいたらしく、最近のものは背を白くし、表紙と同じ色のごく小さい四角を配するように修正した。統一感は改善されたが、いかんせん修正路線なので完成度といった点からはそれなりだろう。なぜ、こんな簡単な誤りをしてしまったのか!
ブルーレイDVDとHDD-DVDの争いはブルーレイDVDの勝利で終わった。私は密かにそれを予測していた。かつてオーディオの規格でMD(ミニディスク)とDCC(デジタルコンパクトカセット)が争ったことがあった。いつも妥協しない方が勝つような印象があった。この場合の妥協とはそれまでの技術との妥協だ。DCCは従来のカセットデッキでも再生できるから、汎用性があると主張していた。HDD-DVDも従来のDVDとの連続性を謳っていた。伝統型と飛躍型と分けて考えると、過去のしがらみをキッパリ断ち切った飛躍型がいつも勝つように思われるのだ。
何が言いたいのかといえば、端から見たときあまりにも自明に見えることをなぜ当事者たちには分からないのだろうということだ。MDやDCCはさておいても、講談社現代新書のデザインに関しては、なぜこんな簡単なことが分からなかったのだろう。