また、「考える人」2008年春号の「特集 海外の長編小説ベスト100」から、加藤典洋、豊崎由美、青山南の3人の対談。
豊崎 以前、「文学界」の企画で、各社の海外文学の編集をしている方にインタビューさせていただいたんですが、みなさん共通して、海外文学のコアの読者というのは三千人なんだとおっしゃった。一方で池澤版世界文学全集の1冊目で、青山さんが新訳なさったケルアックの「オン・ザ・ロード」がもう三万部近いそうですね。
青山 いまそのくらいですかね。豊崎さんのおっしゃるとおり、外国文学というのはふつう初版三千ですよね。それがだんだん減ってきて二千から千五百くらいになりつつある。
むかし吉行淳之介が「砂の上の植物群」を発表したときベストセラーになり、吉行は自分の読者は3,000人のはずだがといぶかっていた。ここでも3,000という数字が提示された。さて3,000人ということは、大雑把に見て日本人3万人に1人の割合だ。人口7万人の飯田市にやっと2人強ということになる。東京で400人だ。
もちろん私は外国文学のコアの読者ではない。しかし3,000人とは淋しい数字だ。そんなものなのか。