諏訪兼位『アフリカ大陸から世界がわかる』(岩波ジュニア新書)を読む。同じ著者の『岩石はどうしてできたか』(岩波科学ライブラリー)は難しかった。だが本書は若者向けということなのでだいぶ読みやすい。
まずアフリカ大陸の大きさが東京からオーストラリア大陸の南端まであると書かれていて驚く。最初にアフリカへ調査に渡ったのが1962年で船便で23日間かかったという。初めての船旅の様子が詳しく綴られ読み物としても面白い本に仕上がっている。
ナイル川の巨大さとその研究=探検の歴史が語られ、それらと絡めてアフリカの地形・地質・地球の歴史が記述されていく。南アフリカに算出するダイヤモンドのエピソードがとても興味深い。
南アフリカでダイヤモンドが発見されたのが1867年、貧しい少女が川岸で光る石を見つけたことに始まる。日本の明治維新の前年だった。諏訪が訪れた1970年には南アフリカのプレミア・ダイアモンド鉱山では毎日2万トンのキンバリー岩が採掘され、このなかから7500カラット=約2kgのダイヤモンドが集められている。
紅海とアデン湾でアフリカ大陸とアラビア半島を引き裂いているプレート・テクトニクスの話も壮大でアフリカを語るに相応しい話題だ。アフリカの砂漠化とそれに取り組む東京農大と名古屋大学の取り組みも興味深い話題だ。
アフリカの地質・岩石を語りながらアフリカの歴史や造山運動、地球史まで広い範囲にわたって取り上げられている。このあたりに興味を持っている高校生、中学生にはうってつけの入門書だろう。私にも十分おもしろかった。
なお、本書の表紙は諏訪が描いたもので、少年の頃は画家志望だったという。