科学

須藤靖『主役はダーク』という怪しい本

須藤靖『主役はダーク』(毎日新聞社)というちょっと怪しい本を読む。副題が「宇宙究極の謎に迫る」というもの。朝日新聞に川端裕人が書評を書いていた(6月30日)。 『主役はダーク』は破格の科学エッセイだ。最新の天文学、宇宙物理学を独特の諧謔を交え…

『動物に魂はあるのか』を読んで

金森修『動物に魂はあるのか』(中公新書)を読む。著者はフランス哲学、科学思想史が専門の人。本書のテーマは「動物霊魂論」、まずアリストテレスから始まる。アリストテレスは、静物の霊魂を3つに分類する。 1.栄養的霊魂−−植物がもつもの。栄養、滋養…

『脳はなにを見ているのか』を読んで

藤田一郎『脳はなにを見ているのか』(角川ソフィア文庫)を読んだ。最初に開いた口絵の図に見覚えがあった。調べてみると2007年に読んでいた。その年、『「見る」とはどういうことか』(化学同人)として単行本として発行されたのだった。今回文庫化されて…

『からだの中の外界 腸のふしぎ』を読んで思ったこと

上野川修一『からだの中の外界 腸のふしぎ』(ブルーバックス)を読んだ。腸がからだの中にある外界だという主張に惹かれて読んだのだが、期待は半ば外されてしまった。「からだの中の外界」という副題から、脳とは別のコントロールセンターについて詳しく語…

伊東乾『なぜ猫は鏡を見ないのか?』がおもしろい

伊東乾『なぜ猫は鏡を見ないのか?』(NHKブックス)がおもしろい。変なタイトルだが、副題は「音楽と心の進化誌」。伊東は作曲家、指揮者で東京大学作曲指揮研究室准教授でもある。猫や犬は鏡を見てそれが自分だと認識することができない、それがタイトルの…

『宇宙になぜ我々が存在するのか』を読んで

村山斉『宇宙になぜ我々が存在するのか』(講談社ブルーバックス)を読む。著者は『宇宙は何でできているのか』『宇宙は本当にひとつなのか』で刺激的な宇宙論を示してくれた。本書の副題は「最新素粒子論入門」となっている。 私たちの体も宇宙も物質ででき…

ストレスにさらされる子どもは

毎日新聞の書評でD. ベリー、サラヴィッツ著「子どもの共感力を育てる」(紀伊國屋書店)が小西聖子によって紹介されている(10月7日付け)。 この本は、共感という「あまりに人間的で優しい感情を冷徹な科学の目で眺め、共感するには何が必要か、病気や状…

大栗博司『重力とは何か』を読む

大栗博司『重力とは何か』(幻冬舎新書)を読む。朝日新聞の書評(7月1日)で、瀧井朝世が「"素人の目"で読みやすく」と書いていたから。その書評を一部再録すると、 素粒子論の研究者が重力の基本から最新の超弦理論(超ひも理論)までを解説し、宇宙の謎…

タイトルがエッチっぽい『快感回路』を読む

デイヴィッド・J・リンデン/岩坂彰・訳『快感回路』(河出書房新社)を読む。副題が「なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか」とある。何か期待して読んでしまった。「プロローグ」から、 非合法な悪習であれ、エクササイズ、瞑想的な祈り、慈善的な寄付…

宇宙〜量子力学〜時間に関する3冊

村山斉『宇宙は本当にひとつなのか』(講談社ブルーバックス)を読む。副題が「最新宇宙論入門」で、それは本当に驚くべき宇宙の姿だ。最初に「宇宙の構成」という円グラフが提示されている。星と銀河はたったの〜0.5%、ニュートリノ〜0.1−1.5%、普通の物…

「心と脳−−認知科学入門」を読む

安西祐一郎「心と脳−−認知科学入門」(岩波新書)を読む。安西は2年前まで慶應義塾の学長だった。「まえがき」で、 心のはたらきにかかわる現象を、伝統的な学問分野や文系理系医系の区分にとらわれず、「情報」の概念をもとにして理解しようとする知的営み…

新しい生命観

「生物と無生物の間」や「できそこないの男たち」で人気のある福岡伸一は講談社のPR誌「本」にもエッセイを連載しているし、東京大学出版会のPR誌「UP」にもエッセイを連載していて、どちらもとても面白い。「UP」の方は表2(表紙の裏)1ページと短いので…