ストレスにさらされる子どもは

 毎日新聞の書評でD. ベリー、サラヴィッツ著「子どもの共感力を育てる」(紀伊國屋書店)が小西聖子によって紹介されている(10月7日付け)。

 この本は、共感という「あまりに人間的で優しい感情を冷徹な科学の目で眺め、共感するには何が必要か、病気や状況によって共感がどう歪んでしまうのか」について説明する。
(中略)
 キーワードの一つは、オキシトシンである。オキシトシンは、脳下垂体から分泌されるホルモンで、子宮を収縮させたり、乳汁分泌を促進する。陣痛促進剤として使われることはよく知られているだろう。このホルモンは最近の研究によると、人への信頼を増し、先行きの不安を低減し、特定の人とのかかわりを増すことがわかっている。
(中略)
 もうひとつのキーワードはストレス反応システムだろうか。子どものころの強烈なストレスは心身のシステムにも根本的な影響を与える。子ども時代に、性的虐待や親の薬物乱用、家庭内暴力など過酷なストレスを複数−−たとえば4つ以上−−受けた人は、ストレスがなかった場合と比べると、自殺未遂が12.2倍、うつ病が4.6倍となる。心疾患、糖尿病、違法薬物使用などのリスクも著しく高くなる。
 またストレスにさらされる子どもは、動物でも人間でも、性的に早熟となり、早く子どもを産む傾向があるという。生命の危機が続く時に生き延びるためには、早熟は合理的なのだろう。

 引用が長くなったが、「ストレスにさらされる子どもは、動物でも人間でも、性的に早熟となり、早く子どもを産む傾向があるという」ことを紹介しようと思ったのだ。これは動物や人間に限らず、植物でも同じことが言えると思う。旱魃や早い冬の到来など、ストレスにさらされた植物(主に草)は、十分育っていなくても開花し実を付ける。ここでも「早熟は合理的」なのだ。

子どもの共感力を育てる

子どもの共感力を育てる