新宮一成『ラカンの精神分析』(講談社現代新書)を読む。これが大変難しかった。もともと16年前に購入し、すぐに読んでいた。当時も難しくてよく分からなかったと思う。傍線を引いた部分が1か所だけで、「文化勲章のような装置が存在するのは、芸術の上にも支配の力が及んでいることを、支配者が示さなければならないからである」の部分で、肝心のラカンの思想に関するところは歯が立たなかったのだろう。それでも本書を手放さないで書棚に置いておいたのはいつか読み直そうと思ってのことだったのだろう。
今回もほとんど分からなかった。まあ、本書でも紹介されているが、レヴィ=ストロースもラカンのセミネールに1回だけ出席して、ラカンの話が「正直言って全然分からなかった」と言っていたそうだから。
本書はラカンの精神分析の思考の深まりに沿って、半ばラカンの伝記的な記述を併せて書かれている。難しいとはいえ、やはりそこには何か重大な事柄が書かれているように思う。いずれもう一度読み直してみよう。とは言え、自分の年齢を考えるとあまり時間の余裕はなさそうだけれど。1か月以上入院している友人が、メールで、同室の寝たきり老人が、昼間寝ているくせに夜中になると悲鳴をあげて騒ぎ出す。うるさいが、仕方ない。20年後の自分だと思う、と書いてきた。いや、20年後はないと思うよ。自分も10年以内に消えることを前提に終活をしなければと思う。もう十分生きてきたのだから。

- 作者: 新宮一成
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/11/16
- メディア: 新書
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