トキ・アートスペースの正親優哉展「なみいたとかえる」を見る

 東京港区外苑前のトキ・アートスペースで正親優哉展「なみいたとかえる」が開かれている(3月25日まで)。正親は1987年東京生まれ。2010年に日本大学芸術学部美術学科彫刻コースを卒業している。2011年ギャラリーKINGYOで初個展、2016年には新宿眼科画廊で個展をしている。2006年より越後妻有アートトリエンナーレに参加し、また各地のグループ展にも参加している。







 今回のタイトルは「波板と蛙」、鉄板やステンレス板を使ったインスタレーションを展開している。正面にブリキの波板風の壁が展示されている。手前に三角形のやはり波板が切り抜かれたような形が置かれている。左手には細長い波板が立てられている。さらに右手の壁には円形に切り抜かれた波板、これはそれぞれ色彩が異なっている。それぞれの台として蛙の立体が支えている。
 ブリキの波板と見えたものが実は鉄板やステンレス板を溶接して型を使ってプレスしたものだという。いわば波板のフェイクなのだ。そのことを知ると、正面の壁がまずブリキの波板をレディーメイドのように展示しているのだと主張して見せ、だからその他のオブジェもみな波板を切り取ったものだと思わせている。
 だが、これらはいずれも市販の製品に似せた正親の作品なのだ。だからよく見れば正確な模倣ではなく、へなへなに作っている。前回、新宿眼科画廊で見た大きな蛙の造形のようにへなへなな印象が共通している。正親は真面目一方ではなく、ユーモアにまぶして作品を作っているかのようだ。正面の波板に見える大きな作品が、一見ぶっきらぼうな印象なのになかなか見飽きない面白さを見せている。
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正親優哉展「なみいたとかえる」
2018年3月19日(月)―3月25日(日)
1200−19:00(最終日のみ17:00まで)
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トキ・アートスペース
東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F
電話03-3479-0332
http://tokiart.life.coocan.jp/
地下鉄銀座線外苑前駅から徒歩5分ほど