ケンジタキギャラリーの塩田千春新作展を見る


 東京西新宿のケンジタキギャラリーで塩田千春新作展が開かれている(3月10日まで)。いつものように天井から黒い糸が張り巡らされている。床に置かれているのはブラシの木の部分、毛が取り去られたブラシが積み重なっている。そこへ黒い糸が結び付けられて天井を覆うまでになっている。
 塩田の初個展は当時神田にあった秋山画廊で、無数の黒い糸が天井から床まで張り巡らされていた。あれは束縛とか桎梏とかを表していたのではないか。黒い糸は神奈川県教育会館での個展でも使われていた。焼かれたピアノを黒い糸が蜘蛛が獲物を捕らえたように覆っていた。その後赤い糸が現れた。赤い糸は絆を表しているのかもしれないと思った。同じ糸が束縛にもなり絆にもなる。
 塩田の作品からは個人の体験と社会性とが重なって見える。そのことが素晴らしいと思う。ステレオタイプの社会性ではなく、個人の体験を経た社会性が優れた作品になっている。
 見るべきインスタレーションだと思う。
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塩田千春新作展
2018年1月25日(木)―3月10日(土)
12:00−19:00(日・月・祝 休廊)
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ケンジタキギャラリー/東京
東京都新宿区西新宿3-18-2-102
電話03-3378-6051
http://www.kenjitaki.com