The White の小川浩子展「地形分析」を見る

 東京神保町のThe Whiteで小川浩子展「地形分析」が開かれている(4月6日まで)。小川は埼玉県生まれ。1996年に日本大学芸術学部彫刻専攻を卒業している。2000年に東京銀座の青樺画廊で初個展、2005年からはギャラリーQで毎年ないし隔年で個展を開いていた。2017年からここThe Whiteで個展をしていて今回が3回目となる。
 ギャラリーの中央にテーブルが作られていてガラス板が載っている。その上に黄色っぽい花瓶状のものが置かれている。これは松脂を固めて作ったものだという。松脂で作った器はひびが入り、中に入れられた液体が滲みでていて雲のような形に拡がっている。液体は松煙墨を磨った墨だとのこと。四角いテーブル様のものは井戸を象徴しているようだ。

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 入り口右手に細い柱で組み立てられた直方体が二重になって設置されており、そこに天井から黒い箱が吊るされている。箱は底がなくその真下に底のような形のものが置かれている。まるで底が抜けて落ちているかのようだ。その底みたいなところに墨が湛えられている。黒い箱の天井には3個ほどの小さな穴が開けられていて下から覗くと小さな星のような光が見える。

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 小川は2013年のギャラリーQの個展でも松脂を使っていた。その時は松脂が弓の弦にも使われ弦楽器の弓にも使われることに着目して、武器と楽器を結ぶインスタレーションをしていた。
 今回の展示に関して小川がfacebookに投稿していた写真は、井戸を象徴している硝子のテーブル様のものを下から見上げる構図のものだった。入り口横の作品も黒い箱を見上げると星のようなものが見える構造になっている。中央の作品もあるいは井戸の底から空を見上げたものなのだろうか。香月泰男の作品に深い井戸の底から見上げた昼の空に星が見えたという絵があったことを思い出す。小川は井戸という地面を掘り下げた空間を、作品として再現しようとしているのだろうか。2017年と2018年のThe Whiteでの個展を見逃したことが悔やまれる。
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小川浩子展「地形分析」
2019年3月26日(火)-4月6日(土)
13:00-19:00(日曜、月曜休み)
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オルターネイティヴスペースThe White
東京都千代田区猿楽町2-2-1#202
http://www.the-white-jp.com/