明日から梅野記念絵画館の山本弘展が始まる

「流木」

「銀杏」

「川」

「箱」


 長野県東御市の梅野記念絵画館で、明日から山本弘展「All is vanity. 虚無と孤独の画家――山本弘の芸術」が始まる(11月26日まで)。

 開催に先立って、展覧会の図録が届いた。A4判128ページで、84点の図版が80ページに紹介され、大竹永明館長の秀逸な山本弘論が掲載されている。

 山本弘の25歳のときの詩集『ありぢごく』と長編詩「美少女」が収録されている。「美少女」は戦争中のエピソードを描いているが、創作なら見事なものだし、山本の経験を反映しているならいささか物騒だ。なにしろ山本本人とも思える主人公が「班長」とやらを射殺しているのだ。最後に「それから二た月後、或る田舎家で、私は敗戦の報せを聞いた。」と結ばれている。

 山本弘未亡人愛子さんと娘の湘さんに私を加えて、大竹館長と久保山功さんがインタビューした記録が11ページにわたって収録されている。山本弘の人となりを知るには格好の読み物かもしれない。山本弘のとんでもない生活が語られている。

 久保山功氏の山本弘論が続く。図を入れて山本の絵を論じている。

 私の編集した年譜は、30年前に東邦画廊の求めに応じてまとめたものをかなり書き直している。

 最後に大竹館長の編集した「山本弘主要文献目録」が収録されている。飯田市の地方紙『南信州新聞』と『信州日報』に相当量の山本弘に関する記事が載っていた。大竹館長が、山本さんは地元で嫌われていたと聞いたけれど、けっこう好かれていたんですね、と言われた。

 明日のオープニングには、トークイベントとして大竹館長と私の対談「絵解き謎解き“山本弘の絵とその人”」が予定されている。

 展覧会が成功することを強く希望する。

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東御市梅野記念絵画館

長野県東御市八重原935-1 芸術むら公園

電話0266-61-6161

https://www.umenokinen.com/#

 

アクセス

鉄道等の場合

関東方面から:北陸新幹線「上田」にて、しなの鉄道へ乗換、小諸行または軽井沢行ご利用で「田中」下車。タクシーで15分(片道2500円前後)となります。バス路線はございません。ご了承下さい。