長野県東御市の梅野記念絵画館で、9日から山本弘展「All is vanity. 虚無と孤独の画家――山本弘の芸術」が始まった(11月26日まで)。
主な展示作品を紹介する。
「種畜場」
天竜川の川霧の深い早朝、種畜場(家畜の交尾施設)に乳牛がいて、霧の向こうにおぼろに見えていたという。霧を描いた山本ならではの作品。色彩が美しい。
「老人」
老人の顔が大きく描かれている。珍しくドリッピングが使われている。
「骨の踊り」
4体の骸骨が踊っている。死をユーモラスに描いている。
「家族」
テーブルに両手をついた幼い娘を中心に山本と妻が描かれている。3人の顔の輪郭は正確で、おそらく山本にとっての「聖家族」と言えるのではないか。
「毛布売り」
酒場で酒を飲んでいたら、老人が毛布を買ってくれないかと入ってきたという。1971年制作という比較的初期の作品。
「銀杏」
夜の銀杏。奥村土牛の代表作「醍醐」の構図を借りている。土牛が華やかな醍醐寺の満開の桜を描いたのに対して、山本は夜の銀杏を描いた。土牛と異なり、自分の一生は地味な夜の銀杏のように見えるが、どっしりと立っているのだと主張しているのだろう。
「箱」
側面に描かれた3つの図形は3人の家族を表しているのではないだろうか。誰にも絵が理解されず、社会的にも孤立していた山本にとって、家族だけが見方だった。箱の中の白はそんな家族の輝き、大切さを表しているように見える。
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東御市梅野記念絵画館
長野県東御市八重原935-1 芸術むら公園
電話0266-61-6161
アクセス
鉄道等の場合
関東方面から:北陸新幹線「上田」にて、しなの鉄道へ乗換、小諸行または軽井沢行ご利用で「田中」下車。タクシーで15分(片道2500円前後)となります。バス路線はございません。ご了承下さい。